内容説明
4人のサラリーマンが、宴会の席で上司の部長をにらみつけていた。彼らは、今夜「部長殺人計画」を実行に移そうとしていたのだ(『サラリーマン四銃士』)。窓際社員・西野は出社してすぐ、席に着いたまま心臓マヒで死んだ。まるで眠るかのように。それを見た係長は決定的なミスを、死んだ彼のせいにするが…。(『雨の朝、窓際に死す』)。など、全編サラリーマンを主人公にした異色傑作ミステリー短編集。
著者等紹介
赤川次郎[アカガワジロウ]
1948年福岡県生まれ。桐朋高等学校卒業。76年、サラリーマン生活のなかで執筆した「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞、ミステリー界に新風を吹き込む。以後、幅広い分野の小説を発表、ベストセラー膨大。2005年度日本ミステリー文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
90
6つの短編をあつめたもの。 サラリーマン4銃士 沿線同盟 給与明細異状なし 雨の朝、窓際に死す 栄光からの脱出 我ら、同胞たち なんらかの勘違いを含む話が多い。 それでも、それほど嫌みではないのは、 赤川次郎の人柄だろうか。2011/04/27
とおる
11
小並感 サラリーマン四銃士‥‥このユーモア溢れるのが実に赤川次郎っぽい感じ 沿線同盟‥‥人間って怖いな 給与明細異状なし‥‥よう出来た話や 雨の朝、窓際に死す‥‥もやもや、でも一番好き 栄光からの脱出‥‥一番面白いと思う。人間って怖いな(二回目) われら、同胞たち‥‥俺は間違いなく他の乗客たちの一人2016/03/05
洋平
11
バブル華やかなりしころの会社を舞台としたミステリー6編。"計算機"と呼ばれ、数字に関しては決してミスのない男で通っている経理部員・川崎。そんな彼が、給料袋に詰めるお金を数え間違えたことが殺人につながる「給与明細異状なし」が面白かった。移ろいやすい女心、風評だけでは判断できない人間性。計算できない人間心理が描かれています。給与は現金手渡し、タバコを吸いながら仕事をする、休み時間に同僚同士で将棋を打つ、当然ケータイもないため手紙で言葉を伝える…隔世の感を感じさせる描写も多いですが、それもそれで味わい深いです。2012/08/25
ヨシ
6
読みやすいが、好みでない。私にはつまらなく感じた。
sansuke
5
サラリーマンは気楽な家業と一部では言われているが,実際にはそうとは言えずちょっとした殺意を抱くことも時にはある。自らの立場を守るため悪意に身を任せる人々を描く。とはいっても描写は非常にライト。時代背景も古いなので古典文学と言えるかもしれない。叱責されたくない,出世の道を閉ざされたくないという動機を小市民的だと笑うことはできない。2020/09/06