内容説明
青年外交官として華々しく活動したこともあった堀江亮介だが、年を経て在外勤務から帰国。待っていたのは社団法人への出向辞令だった。外務省からリストラされ、屈託した日々を過ごす亮介に、突如ウィーンへの出張という話が舞い込む。東西冷戦が終焉したばかりの「魔都」ウィーンには、いまや国際的な陰謀が渦巻いている。突然の展開をいぶかる亮介がさぐる「出張」の目的とは何か。
著者等紹介
春江一也[ハルエカズヤ]
1962年外務省入省。68年チェコスロバキア日本国大使館に在勤中、「プラハの春」の民主化運動に遭遇。ワルシャワ条約軍侵攻の第一報を打電する。その後、在東ドイツ大使館、在ベルリン総領事館、在ジンバブエ大使館、在ダバオ総領事館に勤務。在外勤務当時の体験を基にした『プラハの春』でデビュー、反響を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nishiyan
12
外交官・堀江亮介の活躍を描いた中欧三部作の最終編。本作では1990年半ば、外務省の外郭団体へ出向した亮介がウィーン出張することになり、出張先で日本のカルト宗教、ソ連の武器商人、北朝鮮の工作員と三者の思惑が絡み合った陰謀に巻き込まれていく上巻。過去二作のようなラブロマンスがなく、緊迫した場面が多いのが特徴。弟の洋三の死の真相に迫る展開は興味深い。弟の死によって外交官としての未来を諦めていた亮介がまた向き合うことになるのは何という皮肉だろうか。モデルとなった事件を知っているとより楽しめるだろう。下巻が楽しみ。2019/04/27
じらーるぺるご
3
昔読みました すごくよかったです2015/10/01
まるのん
3
プラハの春、ベルリンの秋に続く続編。ノンフィクションでありながらも、元外交官の著者が展開するストーリは様々な箇所で現実味を帯びており、迫りくるものがある。前作までは、カテリーナやその愛娘のシルビアとの熱愛が、不安定な政局の中で蠢く裏社会のダークな部分をうまく中和させていた。今作では、このような恋愛模様は一切なく、地位も家族も失った主人公が破れかぶれで特殊部隊の一員となって、みえない組織と戦っていく展開がハラハラドキドキさせる。当時の国の状況などが繊細に描かれていて、歴史の勉強にもなる。2014/04/14
Tanabe Kenichi
2
ウィーンの旅のお供に。ウィーンの歴史や文化、特にオペラ鑑賞の描写などその場にいるように惹き込まれました。外交官の仕事に対する責任感に触れ、激務ながら格好良くも思いまさした。2019/10/25
yumin
2
今回は日本が関係している大事件。日本は島国だからだろうか、ヨーロッパほどテロとかに緊張感も準備もない。上巻最後には気になっていたシルビアのその後が。2018/04/18