集英社文庫<br> オテル モル

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集英社文庫
オテル モル

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  • サイズ 文庫判/ページ数 219p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087463064
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「悪夢は悪魔」の合言葉のもと運営される会員制地下ホテルで働きはじめた希里。「最高の眠りと最良の夢」を提供すべく「誘眠顔」である彼女の奮闘が続く。リハビリ施設に入院中の双子の妹に代わり、小学生の姪と、かつて恋人であった義理の弟とともに暮らす希里が働き始めたのをきっかけに、彼ら三人にも変化がみえてきたころ、妹の沙衣の退院が決まる。直後、事件は起きてしまう―。

著者等紹介

栗田有起[クリタユキ]
1972年長崎県生まれ。名古屋外国語大学外国語学部英米語学科卒業。2002年『ハミザベス』で第26回すばる文学賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

347
栗田有起さんは初読。彼女のデビュー作「ハミザベス」は第26回すばる文学賞受賞作。また本書をはじめ「お縫い子テルミー」や「マルコの夢」などで芥川賞候補になりながら、結局芥川賞は逃したようだ。これもタイトルからして奇妙な小説だ。オテル モルは原語の表記がないがフランス語だと思われる。とすれば、Hôtel mort(死)か。たしかに本文中にも死と眠りとの親和性は出てくるが、かといって禍々しさは感じない。むしろ深い深い眠りに誘う小説といった趣きか。とはいえ、そのホテルは地下に13階まであるという不思議なホテル⇒2017/10/01

dr2006

54
眠りは死のバリエーション、「安らかな」と形容する名詞は死と眠り。ホテルのオテルモルはゲストに安眠と良夢を提供する為、地下に向かって建っており静寂が保たれている。普通のホテルとは違う立地と謎の接客に興味をそそられる。主人公の希里は睡眠を誘う雰囲気が買われそのホテルに採用された。健康だが地味な希里に対し、双子の妹沙衣は破天荒で病弱だ。正反対の双子、昼と夜、起と眠が相互補完なのを証明するようにストーリーが展開していく。物事は光の当たり方で事実が違う。眠ることに怖さも感じる独特の世界観、だがその睡魔に襲われる。2016/11/24

tomo*tin

44
夢に出てくる扉というのは大抵へんてこりんで妙なところに繋がっている。素晴らしい眠りはへんてこりん度が強いので、ばんばん扉が開く。開かないでいい扉まで開くこともあるし、開けたくても開けられず逡巡していた扉まで開くし、存在すら忘れていた扉も開いたりする。この物語もまさにそんな感じで進む。制限速度を守ったゆったりとした文章で語られるそれは安全運転に見えて、突然壁に激突したり崖からダイブしたり、予想以上に危うい。でも本能は目的地を知っている。必ずちゃんと目は覚める。絶妙な物語だと思う。2009/07/05

ひより

38
お初の作家さん。 何とも不思議な作品だった。 地下にあるオテル。 会員制で、良い眠りを求めて客が泊まる。 そんなオテルで働くことになった希里。 採用されてからの話はふわふわというかゆったりとしていたのだが、彼女の家族の話が出てくると、なかなかヘビーな雰囲気に… よくやってきたね、希里(涙) 個人的にはもっとオテルの話を読みたかったなぁあというのが正直なところ。 でも、こういう感じにしたからこそのこの作品なのかも。2024/04/06

じょんじょん

37
不思議な作品でした。読み始めの、なにやらもやもやと、そしてぼんやりとした感じはラストまでもやもやと。すっきり爽やかとはほど遠いけれど、嫌なラストではない。このぼんやりとした感じはなんなんだろう。主人公はある意味、負い目やいささかの劣等意識を持っているが、そこもまたぼんやりと。不眠を癒すオテルの客たちもまた、負い目やストレス、心の傷を持っている。主人公の双子の妹、真逆の陰と陽はひとりの人間の陰と陽ともいえる。そして不条理な家族の関係性やそれを受容してしまう主人公も含め、白黒できないリアル日常、我々自身かも。2016/11/29

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