内容説明
青蓮寺は執拗に闇塩の道の探索を続け、ついに盧俊義の捕縛に成功した。過酷な拷問を受ける盧俊義を救うため、燕青は飛竜軍とともに救出へ向かう。一方、北京大名府に残る闇塩の道の証拠を回収すべく、宋江自らが梁山泊全軍を率いて出動する。それに対して青蓮寺は、雄州の関勝将軍に出陣の命を出した。宣賛と策を練り、梁山泊の盲点を見極めた関勝が静かに進軍する。北方水滸、極限の第十二巻。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年唐津生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞長編部門を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を受賞する。また、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、06年『水滸伝』(全19巻)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
295
派手な戦はないが、見どころ満載な巻。晁蓋亡き後の緩やかな時の流れの中で描かれる、様々な語らい場面それぞれに深い余韻がある。そんな中で、一人だけ鉄以外に興味を示さない凌振がかなり好き。初期からいた裴宣にもスポットが当てられ、これまた良い話。これら静の場面と並行し、死域に入って盧俊義を救い出す燕青の奮闘や、華々しくその力を見せつけ、遂に梁山泊入りする関勝など、らしさ満載の動の場面も盛りだくさん。しかし、動の中にも、含蓄のある対話がギッシリで、背負った盧俊義と言葉を交わし続ける燕青の姿には美しさすら感じる。2021/12/09
しんごろ
196
一つの巨星が墜ちても、梁山泊は立ち止まれない!梁山泊の内政を担う裵宣の決して目立たない地味な活躍に、文治省の漢達の誇りを感じる!盧俊義の責任感と忍耐強さ、燕青の主従関係を超えた想い、関勝のなんとなく自由奔放で豪快のようで繊細な感じ…。いろんな漢達の登場にただ心を熱くさせられる!また豪傑が殉死して悲しくなるが、新たに豪傑達が梁山泊に集結!青蓮寺の動きは不気味だが、宋という国を倒してくれ~!2017/10/21
ehirano1
130
熾烈な戦いは絶賛進行中ですが、そんな中にも思わず目を細めたくなるシーンがあり、とてもほっこりしました。それはどのシーン?林冲の焚火を囲む史進と索超のシーンで、索超が子午山の王進塾の近況を語ったシーンです。2020/01/03
納間田 圭
124
塩を制すものは…全てを制す。この時代の”塩”は…富の源、権力者の象徴。だから梁山泊にとっての大切な命綱は…裏側での塩の道だった。しかしとうとう官軍青蓮寺に…闇塩流通ルートの尻尾を掴まれた。闇塩の元締が…かなりドギツクやられる章。読んでられない。梁山泊の生命線を握る男…”盧俊義”がそれだった。さー頭領”晁蓋”を失った梁山泊に…更なる危機が迫る。それから…官軍の”関勝”将軍が、こっち側に鞍替えして来る過程の一部始終が…本巻の読みどころ。「男は借りなど作らぬものだ。饅頭ひとつで梁山泊に行くのだから」2021/12/22
Kircheis
93
★★★★☆ 盧俊義救出劇。もちろん主役は燕青。この辺りから北方水滸伝における燕青の重要度が一気に増してくる。 そして、遂に関勝と宣賛たちが仲間に!2018/03/22