内容説明
福本清三は、15歳で東映京都撮影所の大部屋俳優となった。あらゆる映画・テレビドラマに出演し、スターに斬られ続けて2万回。その日本一の斬られ役に、ハリウッドからの出演依頼が舞い込んだのは定年直前。『ラストサムライ』の“サイレント・サムライ”として、新境地に挑んだ福本の、映画に賭ける情熱と真っ直ぐな男の生き様―。涙と笑いの感動ドキュメント。
目次
序章 大映通り商店街(ああ、霧の下関;太秦キネマ・映画サロン ほか)
第1章 トムさん(ただのエキストラやないわ;無表情の演技をしてください! ほか)
第2章 定年(東京映画祭と駅弁;会社のためやのうて、自分のため ほか)
第3章 カレーライス(香住駅前午前八時;お盆休み ほか)
第4章 撮影所掲示板前(東映京都撮影所;大部屋俳優の神様 ほか)
著者等紹介
福本清三[フクモトセイゾウ]
1943年兵庫県生まれ。中学卒業後、15歳で東映京都撮影所に入る。以来、大部屋俳優一筋に生きる
小田豊二[オダトヨジ]
1945年旧満州生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シブ吉
99
斬られ、殺られて二万回、脇役一筋だった福本清三さんにハリウッドからオファーが。「ハリウッドでサムライ映画を作る」新聞の小さな記事を読んだファンが、映画のディレクターに福本清三さん(フクちゃん)を熱烈に推薦。無表情の侍役と、脇役一筋でセリフの少なかったフクちゃん。見事合格。晴れてサイレントサムライ役で『ラストサムライ』に出演決定する。トムさん(トム・クルーズ)の事、撮影中に誕生日で定年を迎えオロオロする話など、フクちゃんの『ラストサムライ』撮影風景と、その後。脇役人生の脇を支える人達に胸が熱くなりました。2014/09/21
怜
41
団体でひとつのものを作り上げることって、好きだなぁ、と改めて思った。探偵ナイトスクープに依頼が来る前から斬られ役専門の福本さんは我が家のアイドルだった(笑)月曜の時代劇に今日は出てるか探すのが楽しみになった。(わたしはヅラつけてメークした福本さんがキヨシローに似てんなぁ。と思い始めて、追うようになったが、家族それぞれ理由があるようでした)その福本さんが映画ラストサムライに出演したころや定年後こことを語った一冊。クランクアップの様子はつい、もらい泣き。2014/11/11
こばまり
38
聞き手の小田さんとの仲が深まったのか、一作目よりリラックスしたムードが感じられる。巻末の出演作リストはシーンにも言及しており貴重。白眉は「ラストサムライ」の撮影エピソードだが、米資本の時代劇はその後「SHOGUN」に結実したのだと思うと感慨深い。2024/11/23
酔いよい
5
俳優・福本清三の顔は、ずいぶん昔から見知ってはいた。テレビ時代劇のチャンバラシーンで、正義の主人公に斬られてしまう悪人たちの中に いつも彼の顔があった。「あ、また出てる」(笑)。福本清三という名を知るのは、だいぶ後になってからのことだ。ハリウッド映画「ラストサムライ」出演を機に 雑誌やNHKのドキュメンタリー番組などにも登場し、一躍脚光を浴びることになった福本さんだが、謙虚で欲のない人だなと思う。本人は、あくまで一介の大部屋俳優としてのスタンスを崩そうとしない。「ラストサムライ」での役どころは⇒2013/06/22
しょこーーる
5
前にも書いたかもしれないが、一隅を照らす生き方というのはこうことなのだと思う。働くってなんだろうと思うときこの本を読めばいい気がする。この人の人生は奇跡みたいだなぁ。2010/02/04