内容説明
坂本竜馬、土方歳三、西郷隆盛、そして歴史に名を残すことなく果てた無名の人々。幕末の激動期を駆けぬけた彼らに、司馬遼太郎は何故に惹きつけられたのか?歴史を俯瞰する冷徹な視点と、ひとの心のひだにそっと分け入る温かな眼差し。雄大かつ繊細な司馬史観の原点を伝え、『竜馬がゆく』『燃えよ剣』など初期傑作の創作過程が垣間見られる充実のエッセイ集が読みやすい大きな字で新登場。
目次
新選組
土方歳三の家
幕末のこと
竜馬の死
維新の人間像―萩原延壽氏との対談
清沢満之のこと
ある情熱
市民の独語
日本史のなかで暮らして思うこと
先祖ばなし
旅のなかの歴史
軍神・西住戦車長
歴史小説と私
日本語について
むだばなし
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語部卒業。60年、「梟の城」で第四二回直木賞受賞。93年、文化勲章受章。96年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
84
1960年代に書かれたエッセイで、幕末から近代についての語りが大部分を占めています。幕末から明治の時代を駆け抜けた人々に何故惹かれるのかが伝わってきました。歴史に対する造詣の深さや考察の鋭さも感じられ、色々と教えられることが多いです。壮大な小説が多い著者ですが、その小説を楽しむ原点である司馬史観を見たようでした。これから著者の小説を読むとき、より面白く感じられるでしょう。2016/11/01
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
83
本棚の奥から発掘して20年ぶりくらいの再読。幕末と明治維新の頃を題材したエッセイ、対談をまとめたもの。特に明治維新にとその原動力となった人間像についての萩原氏との対談は興味深い。司馬氏が明治維新を、そしてそこに登場する人物をどのように捉えていたのかが良くわかる。★★★2015/08/06
ポチ
50
1960年代の司馬さんのエッセイ。中心は幕末と明治。各地を訪れ歴史の一部を深い洞察力をもって短編小説の様に綴っている。奥行きのある良書です。2016/08/15
シュラフ
27
司馬遼太郎の40代の頃のエッセイ集。この人の歴史に関する博識ぶりは半端ではない。その幅の広いこと、広いこと。なぜ歴史小説を書くのかと問われて、現代風俗を書くのは苦手だからとのたまわるぐらいに歴史に没頭していたのだろう・・・。司馬遼太郎によれば、幕末・明治維新にはイデオロギーはなく、無思想性であったという。日本の場合、歴史を動かすのはイデオロギーや思想ではなく、個人のパショネイト。だから司馬遼太郎の小説というのは編年体ではなく、紀伝体なのだろう。このおかげでわれわれは幕末・明治維新の英傑を知ることができた。2015/06/21
aponchan
19
司馬遼太郎氏の著書を集中的に読んでいるうちの一冊。 同氏の小説をもっと読んでからの方が理解できたと思うが、対談集等とも被る部分も多く含まれているので、面白く読了できた。改めて、より多くの作品を読みたいと感じ、取り組みたいと思う。2019/07/26