内容説明
関ヶ原の敗将で、大名に復帰した例は宗茂以外にはない。大友宗麟の二人の忠臣を実父、義父とし、幼少時より合戦の心構えを厳しく教え込まれた宗茂は、その人柄を見込まれて立花道雪の養子となる。豊臣家への恩義を忘れず、関ヶ原の合戦では石田三成に味方して敗れるが、その後徳川秀忠に重用され、柳河藩の藩主に返り咲く。人間として筋を通した武将の、感動の生涯。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年10月東京生。44年海軍土浦航空隊に入隊するが翌年終戦。戦後は東京都庁に勤務。知事秘書、政策室長などを歴任。退庁後は歴史小説やエッセイを執筆。組織と人間をテーマに講演活動も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まゆっち
11
最近立花道雪の話を読んで興味を持ちました。実の父高橋紹運もめちゃくちゃ偉大!そして誾千代も憎まれ口を叩きながらも心のなかでは宗茂を大事に思っている。西国無双というイメージが強かったですが、更に理想の上司像になりました。2020/12/11
くものすけ
8
関ケ原の一戦で西軍に味方し敗戦。領地は没収され家臣もバラバラになりながらも熊本・京都・江戸と放浪を続けます。偶然幕閣との接点が生まれた事から秀忠との接点を持つところは宗茂の「強運」を感じさせました。架空の話ではないかと思われる程の偶然の結びつきに驚きました。そして棚倉藩1万石を知行とする大名に復活、家康の死後柳川藩主に見事返り咲きを果たしています。波乱万丈の人生乍ら幸運を手に入れる手段は「義」であったことを学ぶことが出来ました。2023/10/10
Mark X Japan
6
立花宗茂の返り咲きは、この時代ではめったにない立派なことです。また、このような幸運の返り咲きも、彼は義に厚く民の為に生きてきたからでしょう。天は自らを助ける者を助ける、とはこのことでしょう。立花宗茂と立花道雪・高橋紹運・立花誾千代の関係や、龍造寺と鍋島の関係などもよく解り、戦国時代後期の九州の勉強にもなりました。☆:4.02014/04/13
白隠禅師
5
父も義父も偉大。しかしそれに負けないくらいというよりこれだけすごい人に教育を受けたからか大物になったんだと思う。もう少し早く生まれてたら天下取りに名乗り出ることもできたのかもしれない。これ読む前に柳川は一度行ったことあるけどすごくいい街だった。あらためて訪れてみたい。2021/03/09
円盤人
5
歴史好きな会社の同僚が童門冬二は好きではないと言っていたが、理由がわかった気がする。素人でもわかるよう平易に書きすぎるゆえか、重厚さが薄れ人物評も単純なものになりがちだ。余談も多い。そのへんに不満は感じたが、おおむねおもしろく読めたと思う。何しろ立花宗茂の全人生を描いた小説は意外になく、その意味で貴重である。特に棚倉藩時代に触れた作品はほぼ皆無なのではないか。九州の覇権争いについてもたびたび筆を割いているせいか、鍋島直茂が対比的に書かれているのも珍しい。誾千代もおなじみのツンデレっぷりで悪くない(笑)。2020/07/11