内容説明
「夫は、なぜこんな自分がいいのだろう?」新しい生活が始まったというのに、もうすぐ33歳になる妻には、5歳年下の夫への引け目がある。幸せの中で惑い揺らぐ心を、カーテンを誂えるというささやかな日常のドラマを通して描く表題作。夫と、恋人と、父と、友人と。人と人のさまざまな関わりの中で「絆」を築いてゆく女たち。希望と旅立ちの予感あふれる全8編。
著者等紹介
谷村志穂[タニムラシホ]
1962年札幌市生まれ。北海道大学農学部動物学専攻。90年「結婚しないかもしれない症候群」で作家デビュー。以後、小説やエッセイを多数発表。03年「海猫」で第十回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェス
5
ひとつひとつそれぞれ良かったです、 図書館本。2019/03/24
にせものばかり
5
8編からなる短編集。どの話もじんわりといいですね。2014/02/24
ジュール
3
不安、不幸、一夜の幸せ、それぞれの女性の小さな生活を描いた短編集。 「一夜」が良かった。 想いを寄せる人との一夜のふれあい。 ポケットの中の手のぬくもり。2015/11/10
おかき
3
切ないような、すっとするような… やっぱり誰か、大切にしたい人がいるっていいなぁと素直に思いました。 大事なものが増えると、制限されるものもできてくるけど、 守りたいと思えば、強くなれる気がする。2013/11/11
cithara
3
谷村志穂の北海道の描写にひかれていたが、北海道以外の場所を描かせても素晴らしいと思った。特に印象的だったのは『私からの風船』である。神奈川と思われる海の光景はまるで私もその場にいるよう。舞台に関わらず、谷村氏の透明感のある筆致には溜息がでる。ただ彼女の作品の既婚男性はみな一昔前の身勝手な人物に思えてしまう。例えば『一夜』の須賀とか。私ならこんな恋愛は耐えられない。最初の『Curtain』と最後の『Curtain Call』はこうつながるのね。私もカーテンの表地を外側に、レースを裏側にしてみたくなった。2011/04/17