出版社内容情報
矢口 敦子[ヤグチ アツコ]
著・文・その他
内容説明
大学4年生の真志歩は、母親との関係をこじらせて、冬休みに帰省しなかった。元日からカレー屋のアルバイトに行き、店の前で迷子の少年を見つける。耳が聞こえないらしい少年が心配で、カレー屋の店長たちと保護者探しに乗り出すが…。身体に虐待を疑う痕跡を持つ少年を巡る事件が、それぞれの家族の深い闇を抉り出していく。家族のあり方と命の希望を描く心温まるミステリー。
著者等紹介
矢口敦子[ヤグチアツコ]
1953年北海道生まれ。病気のため小学校5年生で通学をやめ、通信教育で大学を卒業する。91年『かぐや姫連続殺人事件』(谷口敦子名義)でデビュー。97年『人形になる』で女流新人賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
190
大学卒業前の真志歩がバイト先で迷子の少年・明を保護したことから、あら・・あらら・・偶然なのか故意なのか・・この話の着地点は?と途中まで歯痒い。子供が求める親の愛を思いつつ、親の庇護から抜け出したい子供もいる。子供はいつまでも親の言いなりのこどもではないよね。明は結果として救われたが、世の中そんなに上手くはいかないのが現実だろう。「日本海溝より深い母の愛情で溺れ死にしたくない」と真志歩に言わせる矢口さんにドキリ。母の愛が重すぎないよう私も気を付けたい(汗)2019/05/11
ともくん
45
海よりも深いものとはな何か。 愛情?同情?それとも憎悪? できるなら、日本海溝よりも深い愛情を注ぎたいし、注いでもらいたい。 そして、どうか子供には憎悪を向けないで欲しいと願わずにはいられない作品。2021/12/20
azukin2
34
元旦にバイト先のカレー屋の前で置き去りにされていた少年を保護した真志歩。背中に虐待を思わせる無数の古傷があるのを知る。少年が待っている「エリコ」を探しているうちに河原でエリコのバックを見つける。事件に巻き込まれたのか?そんなことって…予想だにしない事件が待っていた!登場人物のそれぞれの親への想いと愛情が綴られ家族のあり方を考えさせられる作品だった。オーナーの知人の尾崎が突拍子もない行動をとったのはさすがに小説ならではかと笑。文庫本の手軽さでほぼ一気読み。2021/03/29
たぬ
20
☆4.5 児童虐待は本当につらい。大人が大人を傷つけていたり怒鳴りつけている場面だって見ていられないのに大人が子供をとなるともう心が削られるよ。これを読むと加害者側のケアもじっくりやらなきゃだめだなあと改めて思える。主人公の真志歩(大4・女)は好きなタイプだけど40過ぎて定職にもついてないチャラ男な尾崎が実はめちゃくちゃいい奴だった。2023/05/18
shi-
20
家族の在り方、形について考えさせられた。 愛情の示し方というか、表し方と言うか…。 もちろん愛のないのはそもそも問題外だけど、過剰な愛情、押し付けの勝手な愛情は歪んた形になってしまう。 親子って特にそうだし、難しい。2019/04/26