出版社内容情報
江戸後期。浅草の料理屋の長男・信吾は家督を弟に譲り、相談所を開いて世の中のために生きようと決意。江戸の風物詩の生き生きとした描写、落語調の小気味よい会話が光る時代小説。(解説/細谷正充)
野口 卓[ノグチタク]
著・文・その他
内容説明
江戸の文化が花開く下町の老舗料理屋「宮戸屋」の跡取り息子は、なんとも妙な若者だ。鎖双棍とかいう武器をしのばせ、いざとなれば浪人とも渡り合う。将棋を指せば腕自慢のご隠居もひとひねり。動物と話しているのを見た、なんて噂も。そんな信吾が、店を弟に継がせて、自分は「よろず相談屋」を開くなんて言い出した…。不思議な魅力をもつ青年と、そこから広がる人の輪を描いた軽妙な時代小説。
著者等紹介
野口卓[ノグチタク]
1944年徳島県生まれ。立命館大学文学部中退。93年、一人芝居「風の民」で第三回菊池寛ドラマ賞を受賞。2011年、『軍鶏侍』で時代小説デビュー。同作で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
175
老舗料理屋の跡取りを弟の正吾に継がせて、兄の信吾は将棋指南所とよろず相談屋を開いて、あーだこーだする話。主人公の信吾は、飄々としていてつかみどころがないね。無意識に気がつけば人を幸せにしているタイプ。要するに信吾は天然という奴かな。主人公が主人公なら、物語もつかみどころがなく飄々として淡々と話がむ。信吾の戦闘能力と特殊能力を発揮するのは次作かな。今作は手探りな感じ。信吾といろいろな人と巡りあって、どう人と繋がって行くか気になるシリーズですね。とりあえず信吾に対して叫びたくなる。なんてやつだ!2020/06/24
mariya926
134
ナツイチで気になったのでリクエストしてみました!幼い時に大病を負って以来、記憶を失ったり動物の声が聞こえたり、ただ話しているだけなのに相手の人が答えを得たり!!それで将棋とならずやのお店を出してしまいます『一人でも多くの人に味方になってもらえるようにしなさい。なるべく敵をつくらないように』という母の教えを守りつつ、何気に武道もお手の物。シリーズ物なのかな?途中で終わってしまった感じです。『子どもは大人が面白がっていること、真剣に取り組むことに興味を示し、あれこれ試して、自分にとって楽しいことを見つけ出す』2020/06/08
海猫
113
ちょっと奇妙な味わいの時代小説連作集。主人公の信吾は老舗料理屋の跡取り息子。生き物と会話ができてしまう。性格は掴みどころがなくて変わっているが、まあ好青年。鎖双棍というヌンチャクのような武器を使いこなす。そんな彼が「よろず相談屋」を開く。信吾が名探偵ばりに頭が切れて事件を推理するわけでもなく、鎖双棍で悪党を倒すってわけでもない。なんだか妙な事件が信吾のペースにはまって、いつの間にやら解決してる感じ。これが、なんだか楽しい。この本は開幕編といった内容でまだ「繁盛」してない。次巻からが本番、といったところか。2021/02/09
ぶち
111
物語の設定が興味深いです。老舗料理屋の長男ですが、幼い時に大病をしてから生き物の声が聞こえ、話もできるのです。危ないときには生き物の声が危機を教えてくれるのです。ヌンチャクの使い手でもあります。そんな主人公が料理屋を弟に譲り、"よろず相談屋""将棋指南所"を開くのです。その志は人の役に立ちたいというものですが、相談に来る人がなかなかいません。ストーリー展開が淡々としていてメリハリがないなぁと思いながらも、いつのまにか引き込まれています。シリーズが進めば、この主人公の魅力ももっと増してくるのでしょうか...2020/09/03
mocha
73
もっとファンタジックなお話かと思ったら意外に実直。主人公信吾は幼い頃に大病を患い、代わりに特殊能力を身につけた。『しゃばけ』の若だんなを思わせるが、こちらの若だんなはヌンチャクみたいな武器の使い手。ただしその腕も能力もあまり出番がなくて残念。きっとシリーズ化されてこれから大活躍するんだろうな。2020/06/29