出版社内容情報
作家として身をたてるべく単身上京した青年の不安と焦燥の日々を描いた「四月の風見鶏」は、流行作家・渡辺淳一誕生の原点ともいえる自伝的作品。他未発表作品も含む医療小説の名作集。(解説/楡 周平)
渡辺 淳一[ワタナベジュンイチ]
著・文・その他
内容説明
札幌医科大学で行われた心臓移植手術をきっかけに、同大整形外科講師の椅子を捨て、作家として身をたてるべく単身上京した青年。その不安と焦燥の日々をリリカルに描いた「四月の風見鶏」は、流行作家・渡辺淳一誕生の原点ともいえる自伝的作品。ほかに「聴診器」「球菌を追え」「葡萄」など、医師たちを主人公に深い洞察力で人間の本質を描いた医療小説の名作集。埋もれていた未発表作も初収録。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。70年『光と影』で第63回直木賞受賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。97年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよんだ。2003年には紫綬褒章受章。著作多数。14年4月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masashi Matsuba
5
子供の頃の文学小説とは別で、自ら選んで読んだ本の始めは「無影灯」。独自のタッチが好きで好んでむさぼり読んでいた記憶がある。中の「四月の風見鶏」を読んで非常に懐かしく感じました。医師から小説家になる自伝的な話と後書き等読むと、小説家にならざるを得なかった葛藤と、生涯後半に医療小説を書かなくなった経緯等書いてある。決して楽な作家生活でも無かったなぁと思える。特に好きな作家だけに、これ以上本が増えないのも残念に思う。2018/07/11
まつ
4
著者が医師を辞める経緯を書いた自伝的小説「四月の風見鶏」や生前未発表の作品「祭りの日」を含む短編集。「小脳性失調歩行」のオチの部分や、「聴診器」のコミカルな語り口が良かった。また、「祭りの日」はおむつが取れて間もない娘を祭り見物に連れて行く父親の半日間の話だが、作家である父親の、祭りを純粋に楽しむには不必要な洞察力、想像力が主の作品である。果たして娘は祭りを楽しめたのか。母親と行ったら全然違ったものを見ただろうということが想像出来て面白かった。渡辺淳一は三冊目だが、他の作品もまた読みたい。2019/01/02
totoroemon
1
懐かしかった。今読んでも面白く感じられました。2018/09/15
Ryoko
1
面白かった。渡辺さんの短編医学ものは好き。たぶん渡辺さんの実体験から書かれたものなので医学的には古いものだけど(淋病とかが出てくる)リアリティーがあり複雑な心理描写も巧み。真面目で浮気なんかしない妻から淋病をうつされ疑心暗鬼になる夫の話、そして脳の重さと知能の関係が書かれたものは特に興味深かった。2018/07/05
オデッサ
0
医療ものの短編集。ソフトな語り口でとても読みやすい。最後の未発表作品はデビュー前後に書かれて眠っていたもの。さすがに拙く主題がぼやけているかな。研鑽を積むのは大事だなと思い至りました。2021/09/19
-
- 和書
- 小児歯科臨床マニュアル