出版社内容情報
第二次世界大戦後、釜山から引き揚げてきた夫婦は博多での生活をスタート。男が思いついた商売は“めんたい"の味を再現し販売することだった──。ふくやの創業者をモデルにした感動の人間ドラマ。
東 憲司[ヒガシケンジ]
著・文・その他
内容説明
必ずうまかメンタイつくっちゃるけん!昭和二十三年の博多の町は大陸引き揚げ者や復員兵でごった返していた。中洲市場に食料品店『ふくのや』を構える海野俊之は、世間でも有名なお人好し。周囲に“のぼせもん”と呆れられながらも、心温かい家族や従業員に囲まれて、少年時代に釜山で食べた惣菜「ミョンテ」の再現に今日も精を出す。博多名物“明太子”を世に広めた男の人生を描く長編小説。
著者等紹介
東憲司[ヒガシケンジ]
1964年福岡生まれ。劇団桟敷童子代表。劇作、演出、美術を手がける。2012年に紀伊國屋演劇賞・個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞、13年に鶴屋南北戯曲賞を受賞。また初めて手がけたTV脚本「めんたいぴりり」は第30回ATP賞、第51回ギャラクシー賞奨励賞、14年日本民間放送連盟賞・テレビドラマ番組部門優秀賞を受賞、同作で第41回博多町人文化勲章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やも
70
昭和23年、博多。戦後を美味しさで満たしたいと【めんたい】の開発に挑んだ【ふくのや】。かわいい表紙だけど、中身はなかなか辛口ばい。戦争描写に結構な頁数が割かれとぉ。戦後の復興。なぜ博多が明太子の聖地となったのか?博多、ひいては日本を代表する食べ物だと思っとったけん、それだけじゃなか。涙が出るような明太子の歴史があると。何かを1から産み出すって想像以上に大変やけん…。ばってん、暗くはなかばい!「与えた恩は水に流せ受けた恩は石に刻め」義理にアツくおおらか。今の時代っちゃ考えられん剛気さばい。よか話やった。★42022/02/12
おかむー
66
川原健 『明太子をつくった男 〜ふくや創業者・川原俊夫の人生と経営〜』を原作としたTVドラマの脚本家である著者による小説化は、そこはかとなく脚本っぽい状況説明が目に付くのが玉に瑕。『よくできました』。小説としての出来はともかく、物語のそものは福岡の名産品である辛子明太子を作り上げた川原俊夫をモデルとした主人公・海野俊之とその妻を中心とした人情物語かつサクセスコメディとして安心して楽しめる。てかコレ妻を主人公にしてればNHKの朝ドラでいける内容じゃね?2018/05/01
NAOAMI
17
なしてか味の明太子ふくや創業の話を主人公の氏名から屋号までビミョーに違えてある。別にママじゃあかんのか。どうせ小説なのだからか、肝心なところはスケトウダラが博多弁で「うちの卵を無駄にして!」と怒鳴ったり、ラストシーンだけ幻想で済ませちゃうのが何とも勿体無い。明太子の試作に明け暮れる物語も閃きや転機のメリハリ・起伏が感じられないので淡々と読み通すだけになってしまう。唯一へぇ~となったのは中洲歓楽街のホステス通じて広まった点、製法を出し惜しみせず、観光資源になった事か。矢島の兄貴が何かしら影で活躍したんかな。2019/05/10
さやか
13
戦争のくだりは悲しすぎたけど、そこから生まれた強い想いが明太子を生み出した。海野俊之のポジティブさと思い遣り満点の千代子。最後に釜山で出会った頃を思い出すシーンが、とてもじ~んとくる。2018/05/18
キリン
11
娯楽小説として単純に面白かった。やっぱり読書は楽しくないと▼ 明太子を博多の名物にした男、海野俊之。モデルは「ふくや」の創業者「川原俊夫」かな?▼ 戦前に釜山で食べた思い出の味「ミョンテ」を、スケトウダラと辛子を使って惣菜として蘇らせた俊之▼ 口癖の「与えた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め」がお気に入りの言葉です▼ まぁ、以前博多華丸さんのドラマで見たんですけどね。博多生まれとしては単純に好きです★4.02021/07/22