出版社内容情報
闇を抱える美人妻が失踪した! 妻が向かった先は凶暴な種族〈モグラ〉が住む地下帝国。男は妻を連れ戻すことを決意するが……。エログロ小説の鬼才が描く、ダーク・ファンタジー長編。(解説/関根勤)
内容説明
日本には古来、国家に所属しない民がいた。“モグラ”と呼ばれる彼らは、現代文明を拒否し、自ら掘った地下洞窟で独自の発展を遂げていた。北関東の小仲代郡獅伝町にある彼らの棲家“トンネル”には、約一万人の粗暴なモグラがいる。行ったら必ず殺される。その危険な秘境に美人妻が消えてしまった。博人は妻を捜しに身命を賭してトンネルへ向かうが…。闇が織りなす迷宮世界に誘う怪奇幻想長編。
著者等紹介
飴村行[アメムラコウ]
1969年福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年、『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞し、デビュー。10年、『粘膜蜥蝪』で第63回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あも
78
単行本に大幅加筆修正。構成が変わり、新規のエピソードが挿入され…飴ちゃんがコネくりまわした跡を見てニヤニヤ。やや繋がりが悪い部分もあったが、コネただけあり、別物のように面白くなった。今から読む人は必ず文庫を推奨。古来より通称"モグラ"と呼ばれる人々が洞穴に棲む、とある町。書き置きを残して去った妻を追ってモグラ達の世界に飲まれる主人公。受験失敗を期に実家を出て、ツチヘビをムグる工場で働く主人公や、モグラ兵が旧日本軍風だったりと、飴ちゃんらしさも満載。急転直下、穴に突き落とされるラストに呆然とするもまた楽し。2018/11/28
フユコ
53
モグラの描写がなんだか可愛かったです。そうかそうか、とひとり会話中納得するところが愛らしかった。 不思議な世界観のお話でした。2019/07/17
Akira
44
★ 飴村さん初の挫折。後半殆ど飛ばし読みで何がどんでん返しなのかすらわかんない始末。関根勤さんの解説はきっちり読んだ。関根さんも粘膜シリーズは好きだけど、これは後半飛ばしたとみえる。飴村小説でこれを最後に読んだ事だけが幸いだった。2019/09/03
ジンベエ親分
42
書店で飴村行の新刊を発見し、その時買おうと手に持っていた何冊かを棚に戻して即買い(笑) 大喜びで読み始めたのだが… 序盤は良いのよ。本筋と何ら関係がないツチヘビの解体わやたら詳細に書いたりする悪趣味さにワクワクし、「ツッチーの珍味シリーズ」というネーミングにクッションを叩いて大笑いしていたのだが、妙に整然とした記述、世界観にすこーし不安が。中盤、地底に拉致されてからの展開はそれこそ退屈そのもの。終盤になってようやく話が動き始め、ラストにはおお、と感嘆したが、こんな綺麗なオチを飴村作品に求めてたんと違う。2018/02/12
活字スキー
24
平成も終わろうかとする時分に、軍国主義的妄想にまみれた地底人と邂逅しようとは。粘膜度低め、怪奇幻想系純文学の匂いマシマシ、読み進めるほどに盛り上がらざること山のごとし、しかして偽りなく飴村節に貫かれた、はみ出し者のこじらせダークファンタジィ。矢尽き刃折れたのか、新たな萌芽か。その腐りかけた煮凝りのような俺理論に終わりなく。神林御大やヤスミン級のガチSFには及ばずとも。2018/10/12