出版社内容情報
「旅」「旅行」をキーワードに精選した短掌編16本を収録するアンソロジー。旅への期待感、まだ見ぬ土地への不安、遠くに来たことへの感慨……。さまざまな感覚が味わえる贅沢な一冊。(解説/西上心太)
内容説明
「旅」をキーワードに名作短編を紹介するアンソロジー。地球を離れて遠くの惑星まで行くストーリーから、空港からホテルに行くつもり、という話、さらには心理的な距離感を旅になぞらえた作品まで、緩急自在、多種多様な「旅」。物語に触れるとき、心は時間と空間を飛び越えます。読書とは、まさに旅そのもの。本書は、ここではないどこかへ行きたいあなたを、新たな読書の世界へと招待する扉です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
いくつかは読んだことがありますが、十分に楽しめました。「旅路はるか」という副題でのことですが、あまりそれにこだわっているという気はしませんでした。夢野久作の作品はさまざまなアンソロジーに取り上げられている定番です。井上ひさしの作品はワインを廻る騒動を饒舌な語りで楽しませてくれます。西村寿行の作品は半村良を思い出しました。五木寛之の作品は若い頃を思い出しました。最近はこのような作品を描いてくれなくなりました。2018/10/02
えっくん
32
★★★★☆旅をキーワードにした川端康成、井上ひさし、宮本輝といった錚々たる作家陣の16編のアンソロジー。2000年以降の作品は収録されていませんが、色褪せることなく旅の追体験ができました。お気に入りは、高度な文明を持つ宇宙人に助けられた漂流する宇宙船の乗員の話「不満(星新一)」は星さんらしい最後のオチが秀逸です。失踪した妻を探しに長野の山中を探索する「まぼろしの川(西村寿行)」は人間の欲望の恐ろしさが描かれ、長編でも読みたい作品。「夏の少女(唯川恵)」はゴーストストーリーですが、最後には優しさが溢れます。2021/08/30
ノンケ女医長
31
え、この後はいったいどうなるのという、やや後味の悪い短編が並ぶ。続きが気になり、きっと短編集を何度も読みたくなる編集者の意図にすっかりはまってしまった。「父ちゃんバイク」と「まぼろしの川」がひときわ、良かった。後者、ああいう、外との交流を一切絶った集落は、日本のどこかに存在するのだろうかと真剣に考え込んだ。金だけの問題でもないし。2025/03/09
ドナルド@灯れ松明の火
24
なかなか良いチョイスだった。井上ひさし(いとしのブリジット・ボルドー)、胡桃沢耕史「父ちゃんバイク」、西村寿行(まぼろしの川)、五木寛之の(悪い夏 悪い旅)等が良かった。お薦め2022/05/05
しばこ
15
読み応えのある短編集。「旅」の要素が入っているという通り、大なり小なり、人生そのものが旅であるとも言える、SFや怪奇的なものや古典的なものが詰まっていた。個人的には「トマトの話」が面白かった。2022/01/31