出版社内容情報
日本軍のスパイとして中国で暗躍し、最後の帰還兵となった深谷義治と、その家族を襲った悲劇。20年以上に及ぶ独房での拷問、病気、差別、極貧生活……全てを描いたノンフィクション。(解説/佐藤優)
内容説明
義を貫き、日本の名誉を守り抜いた男がいた。第二次大戦中、中国でスパイとして暗躍した深谷義治。終戦後も潜伏し続けたが、当局に逮捕され、中国最悪の上海監獄へ収監された。その月日は、20年以上。残酷な拷問を受け続け、幾度も生死をさまよい、それでも祖国や家族のために完全黙秘を貫いた。彼の不屈の信念を支えたものは、いったい何だったのか。戦争の傷跡をえぐる壮絶なノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
50
日本の帰還兵と言えば、小野田少尉が有名ですが、それより長く中国に囚われていたのが、深谷義治さんでした。スパイ養成で有名な『陸軍中野学校』の卒業生だった彼は、終戦後にスパイ容疑で逮捕され、34年中国で牢獄生活を送ります。結核、骨折、虐待という地獄のような生活の中、愛する妻や娘息子の為に生きて帰る事を願い、耐え忍び続けた強い精神力に感動です。一度は無期懲役の判決を受けましたが、領事や知事の力添えや日中平和友好条約の締結により、最終的に無事釈放される姿に安堵しました。諦めずに、耐え忍んだ結果の勝利ですね!2017/09/24
kiki
3
全てが衝撃でした。日本に帰国出来たのが、戦後何十年と過ぎた、私が生まれた後であるということ。やっと帰国でき幸せになれるかとおもいきや、深谷家への日本国家の不可解な対応。そして主人公である深谷さんが、近年までご存命だった事等…。今の平和な日本があるのは、この家族のおかげでもあるかと思いました。深谷さんの存在を、もっと多くの日本人に知ってほしいと思いました。2018/06/26
Tomotaka Nakamura
1
深谷氏が行ったことは中国からすればもちろん許すことはできないことである。ただし、罪の深さと受けた刑罰の相関が多分に政治的理由で伸びたことは本当に不幸である。耐え忍んだ深谷氏の精神力にただただ感服。2017/10/08
びりけん
0
☆3つ 歴史の裏側は非常に興味深く面白い。司馬文学のようなストーリー性を期待しすていたので、やや単調。2017/09/26
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- 和書
- 季刊文科 〈第100号〉