出版社内容情報
45歳バツイチのミチルは三か月前に彼氏と別れ、チラシのポスティングで糊口をしのぐ日々。恋愛、仕事、友人関係。人生の岐路に立たされた彼女が選ぶ道とは──。ハートフルストーリー。(解説/吉田伸子)
内容説明
四十五歳、職なし、バツイチ、彼氏なし。ミチルにあるのは元夫から譲られたマンションと貯金の三百万円。若くて可愛くてチヤホヤされたバブルの頃が忘れられず、そうかといって将来に不安がないわけでもない。恋愛、子供、親、仕事。あたし、これからどうするんだろう―。それでもミチルはめげずに前を向く。時代の波に翻弄されながらも懸命に今を生きる女性に贈るハートフルストーリー。
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年神奈川県生まれ。2006年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アッシュ姉
95
最近ますますお気に入りの原田ひ香さん。こちらも面白かった。四十五歳バツイチ無職で人生の岐路に立たされるミチルさん。バブル世代でなくとも過去の栄光を引きずったり、無敵で怖いものなしだった昔を懐かしむことはある。若い頃は根拠のない自信に溢れ、さほど努力しなくても何だってうまくこなせた。いまとなっては誰より自分が信じられず、新しいことを覚えるのにやたらと時間がかかり、忘れるのは驚くほど早い。劣化していく自分を受け入れ、年相応に平穏に生きていきたい。前を向いてちょっと上機嫌になれるお話。ミチルさんに幸あれ!2021/10/21
優希
70
面白かったです。バブル世代ではないけれど、ミチルと重なる部分が多くて共感してしまいます。これからのことに不安になりながらも前に進もうとする姿が格好良いなと。懸命に今を生きようとするハートフルストーリーにほっこりしました。2022/04/16
ノンケ女医長
64
山崎ミチルさん、45歳。恋を重ねて、仕事にも打ち込んできた。一生懸命過ぎたのか、別れた男性からの評価は良くないようだ(特に251頁の言葉は酷い)。ミチルは、こんなに頑張っているのに。苦労も重ねて、深みのある物腰を身につけたのに、どうして評価されることが少ないのだろうか。同世代の女性として、ミチルに感情移入するあまり、作品に登場する人々に対して腹立たしくなった。彼女を慕う年下の田丸優奈もそうだが、気を張り詰めて日々を過ごしているのに、周りから誤解されることが多くて辛い人には、とても胸が打たれる作品だと思う。2023/01/07
じょんじょん
58
原田ひ香さん初読み。バブル全盛経験者のミチルさんが、仕事もパートナーも喪失してからの再生ストーリー。バブリーひきずりの嫌味な女性から、人との関わりを通じて、少しずつ少しずつ他者との優しい関係性の構築ができるように、そしてそのことに喜びを感じていくところが嬉しい。自分もバブル全盛期には若手社会人でしたが、東京の西の方に住まい、仕事も都心から離れていたので、バブルウェーブの実体験はあまりない。せいぜい吉祥寺の無機質なカクテルバーで飲んだり、六本木ディスコ体験ツアーした程度。でも懐かしい。ミチルさんの笑顔応援。2018/03/10
のんちゃん
57
ミチル、45歳、バツイチ、無職、今の手持ちは元夫からもらったマンションと貯金300万円。未だもてはやされたバブルの頃の幻影を引きずり生きている。チミルがこの幻影を断ち切り、これからの人生を生きていこうとする再生の物語。バブル時代と今とではきっと戦中と戦後位の意識の差がある事は、その時代を経験した私にもわかる。原田ひ香さんは、そんな女の意識変革をとても爽やかな読後感で描いてくれた。うん、私、この小説、とても好きだ!80年代の回想シーンも懐かしく、私の年齢だからこそしっくりくる物語だったのかもしれない。2022/02/01