出版社内容情報
「人間ちうもんは、命をかけにゃならんときがある」かつて身を挺して増税に立ち向かった家老がいた。ときは過ぎ、百姓たちの生活は再び逼迫し――。慈愛の心を貫く青年医師の目を通して、市井の人々を見た歴史大作。(解説/上田久美子)
帚木 蓬生[ハハキギホウセイ]
内容説明
貧富を問わず患者の看病にあたる鎮水のもとで医師修業を積む庄十郎。一方で兄の甚八は大庄屋を継いでいた。あの一揆騒動から二十六年、身を挺して増税を撤回した稲次家老は病に倒れた。度重なる不作、飢饉、人別銀。再び百姓に困難が降りかかるとき、怒りの矛先は甚八のいる大庄屋へ向けられた。時代のうねりの中で懸命に慈愛の心を貫こうとする青年医師の目を通して市井の人々を見た歴史大作。
著者等紹介
帚木蓬生[ハハキギホウセイ]
1947年生まれ。東京大学仏文科卒業。九州大学医学部卒業。93年『三たびの海峡』で第14回吉川英治文学新人賞、95年『閉鎖病棟』で第8回山本周五郎賞、97年『逃亡』で第10回柴田錬三郎賞、2010年『水神』で第29回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
115
後半は、一揆などが起こったりしますが、大庄屋の跡を継いだ主人公の兄の動向が中心となります。お上の言うとおりにして民に厳しく対応したものの一揆などの責任を取らされた大庄屋の兄が斬首されてしまいます。最後に兄から主人公あてに残された手紙などを読むと、兄から厳しい仕打ちを受けたものの実際には主人公にはよかったという感じが残ります。帚木さんの医療ものも結構読んでいるのですが、この作品や「水神」などの方が私の年齢になると印象深い気がします。2025/02/23
扉のこちら側
81
2018年198冊め。医師としての生き様と同等に圧政に苦しむ百姓たちの一気の描写にページが割かれていてのこの上下巻のようである。大庄屋の跡継ぎではない次男という立場の主人公が、農民たちに寄り添って生きるようになる生い立ちが丁寧に描かれている一方、彼と道を違ってしまった長男についてはその生い立ちが掘り下げられなかったのが残念。2018/06/20
のぶ
80
下巻に入り、久留米藩の大庄屋の次男、庄十郎は医師を目指し医院を開業する。多くの人の面倒を診て奔走するが、並行して農民の苦しい生活が描かれる。やがて一揆が起き、多くの処刑者が出る。上下巻を通し青年医師、庄十郎の活躍と成長、当時の農民の生活が合わせて描かれ、その描写は的確かつ分かりやすく、文章もとても読みやすい。自分は福岡市に7年程住んだ事があるので、久留米の方言がとても心地よく感じられた。しばらく前に「水神」を読んだが、同じく筑後川をモチーフに使い、大きな感動を呼ぶ秀作だった。2018/03/13
てつ
51
江戸時代の医者の視点の話は読んでいてホッとする。たとえ書かれていることがえげつなくても、冷静な表現がなされるし、何より時間がゆっくり流れるので、視点をぶらさずに読み進めることができる。良作ですね。2018/12/15
優希
39
百姓に困難が次々と襲うのが辛かったです。怒りの矛先は大庄屋へ向けられるのも納得でした。時代のうねりの中で懸命に生きる農民たちのあり方が刺さります。2023/12/29




