出版社内容情報
夫との関係に苦しむ泉はある日、電車のホームで思い悩む女子高生と知り合う。互いの悩みを相談するうち二人は惹かれ合い、共に暮らす決意をする──。新たな家族の形と幸せを問う感動長編。
小川 糸[オガワイト]
内容説明
夫との関係に悩む泉は、ある日女子高生の飛び込み自殺を止める。事情を聞いているはずが、知らず知らずのうちに自らの身の上話をしていた泉。やがて二人は魅かれ合い、お互いをかけがえのない存在だと知る。家族として共に歩むことを決意し、理想の地を求めて山里へ移り住んだタカシマ家は、母二人、子二人での生活を始めて―。たくさんの喜びを紡いだ一家の軌跡を描く、愛と再生の感動長編。
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
1973年生まれ。2011年『食堂かたつむり』でイタリアのバンカレッラ賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
237
【ナツイチ2018】我ながら意外にも小川さん作品は『ツバキ文具店』シリーズの2作品しか読んでませんでした。本作を読了し、改めてもっと他の作品を読んでみたいと思わせてくれる本当にステキな作風の作家さんです。ちょっとワケありの母二人、子二人の四人家族の心温まるクロニクルが家族それぞれの目線で描かれています。最初はほっこり&おっとりモノかなぁと思いましたが、実はそれだけではなく、むしろ社会的なあるテーマも扱われており、その軸がしっかりしているからこそ、読む側に涙が止まらなく、素晴らしい感動を与えてくれました。2018/07/22
SJW
220
夫と破綻しつつある泉は飛び込み自殺を図る女子高生を止める。徐々に二人はひかれあいパートナーとなり、母二人、子供二人で自然がいっぱいの山間の土地に移り住むが、同性カップルゆえに地域住民から受け入れられずに苦労する。しかし4人で幸せな家庭を築き上げていきながら、結婚とは?幸せとは?を読者に問いかけという、とても考えさせる小説。LGBTの話と気付いたとき、頭では応援する気持ちであることを自分で確認しながら、自分の子供がそうなると許せるかと考えると自信がないことに気が付いた。この小説を読んで、(続く)2019/03/12
ゲンキ
163
小川糸さん、恥ずかしながら、初読みです。家族愛の話でした。女同士が愛し合い、それぞれの子どもたちもひとつの家族として一緒に暮らしていく。最後の方で、悲しいことが立て続けにあり泣けましたが、本書のキーワードは虹🌈で、読後感は温かい話で凄く良かったです😂。2020/04/18
さてさて
160
時代の変遷によって、かつて当たり前だった『家族』の形もどんどん変わって行くこと。そして、大切なのは、その形は極めて多様であり、自分の『家族』を基準にその形を判断してはいけないということ。『家族』のあり方の多様性を理解し、そのそれぞれの形を尊重すること。身近な問題でありながら、簡単なようで難しい、そんな『家族』というものについて、ふと立ち止まって考える機会をいただいた、そんな作品でした。2020/09/25
けいご
152
男性や女性、ゲイやレズビアン、大人や子供である前に「人」である事を忘れがちな僕達へ「人を愛する事」を教えてくれる大切な一冊でした★愛すると言うのは誰かの用意した線路の上を歩いていても見えてこないし、幸せになる為の説明書なんてこの世界には用意されていない事に気づいた時点からスタートするのかもしれないね?そして、道なき道を一緒に笑って泣いて怒りながら歩ける人が側にいたら、多分それが家族なんじゃないかな?「人として大切な心のカケラ」を御裾分けしてもらった気がした一冊でもありました★2021/04/27