出版社内容情報
僕の会社は悪徳商法のブラック企業!? 退職を決意し詐欺の証拠集めに奔走し、会社とは違う“ある場所"で日々繰り広げられるバトル。表題作ほか短篇一篇を収録した新芥川賞作家の話題作。(解説/古市憲寿)
内容説明
僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!?過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが…。芥川賞作家の話題作。
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年東京都生まれ。明治大学卒業。2003年「黒冷水」で第40回文藝賞、15年「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
アラサーbonsの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
189
トイレで寛ぐのが唯一の楽しみという悪徳ブラック企業に勤める主人公があるできごとをきっかけに退職を考え始める…というお話。とにかくやたらとトイレで色々したがる主人公^^;いくら清潔であまり人が来ないからといってもそこで食事するとか…私には絶対ありえない、とか、今の若い世代って気配りができるんだかできないんだか訳分かりませんなあ(実体験含む)、というようなことを考えつつ…、本人はあまり気づいていないところで主人公の中に変化が起こっておかしな方向に向かってるところなんかはいかにも純文学っぽいとも感じた。2016/08/11
いつでも母さん
138
ご不浄なんてしばらくぶりに聞いた言葉で新鮮!(笑)このバトル、クスッと笑える。そして、この毎朝のルーティンわかるわぁ。自宅にも拘らず毎朝決まって夫がトイレに入る様子と被って笑ってしまう。しかし仕事の方は・・トイレに籠りしかも諸々を持って(有りえない・・笑)ブラック企業を嘆いてもダメでしょう。イカン、イカンよ。絶対まずいわと思っていたらほら、やっぱりね!芥川賞受賞以来よくTVでお見かけする羽田作家。次に見たら間違いなくこの作品を思い出すだろうな私。毎朝のトイレ争奪戦も仕事もその後が気になる(笑)2016/02/25
おしゃべりメガネ
131
意外にも初の羽田さん作品です。読メで見かけて「どれどれ?」的なノリで手に取りましたが、う~ん・・・、何とも言えない作風ですね~。好き、嫌いでは分けれないスタイルかなと。合う人は合うし、合わない人はホント、合わないのかなという気がします。じゃあ、私はというと本作だけではなんとも判断しがたいですね。キライではないけど、次々と他の作品も読んでみたくなる作家さんかと聞かれると、正直自分の中では読むべき優先順位が高い方には位置しないかなと。どこかブラックユーモアみたのがあるかと期待しましたが、残念ながら・・・です。2016/02/13
扉のこちら側
116
2016年575冊め。タイトルそのままのトイレの話なのだけれど、ブラック会社でのストレスをトイレで(大変な方法で)解消したり、いわゆる便所飯というものをやったりと、単に通勤時のトイレ争奪戦だけに留まない。男性が個室トイレで何を考え何をやっているのかというのは、やはり男性作家だから描けるリアルさ、なのか。トイレ話よりブラック企業で疲弊していく描写もうまいが、やはり読後感はよくない。2016/07/18
ゴンゾウ@新潮部
104
自分にとっては憩いの場であるトイレが主人公にとっては逃避の場になっている。上司から逃れ食事をするなんて。駅のトイレも躊躇してしまう。そこまでブラック企業で追い詰められている。トイレの描写がリアルすぎて…2016/12/03
-
- 和書
- はなとゆめ 角川文庫