出版社内容情報
夏空の下、家を飛び出し一人旅を続ける直次郎が、人とのコミュニケーションが苦手な塊太と出会う。お互いを補完し合い、成長していく正反対の高校生二人の“バディ"を描く青春小説。(解説/長岡弘樹)
内容説明
夏休み。実家の牧場の仕事を手伝う塊太は、一人旅を続けながらまっすぐに生きる直次郎と出会った。人前でうまく自分を表現できない塊太は、内心では牧場を疎んじている。徐々に友情を深める高校生二人は、軽トラックで岩手県を駆け巡る。塊太は意外な特技を見出され、一世一代の挑戦を決心する―。互いに補完し合い、成長していく“バディ”の旅路を鮮やかに描き出す傑作青春ロードノベル。
著者等紹介
吉村龍一[ヨシムラリュウイチ]
1967年、山形県南陽市生まれ。高校卒業後自衛隊入隊。除隊後、近畿大学豊岡短期大学卒業。2011年、『焔火』で第6回小説現代長編新人賞を受賞し、12年、同書が刊行され、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
167
集英社さん『ナツイチ』企画からの作品です。解説が『傍聴き』の長岡さんですが、そんな長岡さんが本作と作者さんを見事に表現したフレーズ-【道路(ロード)と労働の作家】-があり、ウマい!と思いました。本作もまさしくそのフレーズがドンピシャの作品で、ロードノベルというほど大げさではないかもしれませんが、壮大な感じは十分に楽しめ、青春モードもあつくるしくなく伝わり、爽快でした。ちょっと内向的な「塊太」とどこか謎めいた健やかな「直次郎」、二人の高校生がひょんなことから出会い、限られた時間ながら旅するロードノベルです。2016/07/03
相田うえお
146
★★★☆☆17102 夏休み、家業の牧場を手伝う高3男子と、バイトしながら旅をしているという高1男子が、あるキッカケで出会うんです。二人で牧場の仕事を手伝っているうちに打ち解け合い、牧場の休暇を利用し一緒に転々と旅するんですよ。この旅で色々な人の親切を貰いながら、互いの友情を深め、人に言えない心の傷を克服していくという話でしょうか。話は変わりますが、皆さんは何歳の記憶からありますか?当方は1歳頃からあるんです。歩行器に乗って前に付いてる玉で遊んでたり離乳食食べたり。これを人に話すと信じてもらえないんです。2017/10/15
扉のこちら側
94
2016年616冊め。高校生の夏休みロードムービー。二人の抱える悩みも等身大で共感できるし、岩手・宮城の雰囲気もいい。けれど地元ガス屋の運転で近道をして仙台に向かっているはずなのに地元民は絶対やらない盛大な遠回りをしている取材不足もあるし、美喜や自転車の伏線が回収されていないしで、腑に落ちない終わり方。2016/07/31
七色一味
65
読破。それで、どうなるのか。という部分は読者に投げられたままの終わり方。あれこれ気になる部分は残っているものの、それも真夏の一瞬の出来事ってとこでいいんじゃないかな。だって、真夏じゃん(笑)☆爽やかなんだけど、主人公ふたりとも背景ドロドロで、それが濃い影となっていていい感じです。ただ、これを読む季節ではなかったのが残念(笑)2016/11/02
Take@磨穿鉄靴
52
キャラクターとしては悪くなかったと思うけど伏線らしきものを露骨にアピールしながら回収もせずに放置するとか少し残念な印象は拭えない。ストーリー自体は文章の表現次第で輝きそうな感じではあるものの結局最後までキラリとするもの無く終わる。あとレントゲン技師という呼称は著者の勉強不足からなのか。あえてだとしても無理して誤用してまで使った効果があるのか疑問。言葉はある程度正しく使った方が良い。「光る牙」の良い印象も少し霞んだ気がした。期待があっただけに残念。★★☆☆☆2020/10/30