出版社内容情報
女を追いかけてフィリピンに渡り、果ては無一文になった5人の「困窮邦人」。そのすさまじい生き様を通して、図らずも見えてくる現代日本の姿とは。第9回開高健ノンフィクション賞受賞作。(解説/橘玲)
内容説明
常夏の国フィリピンで、困窮生活を送る何百人もの日本人男性がいる。フィリピンクラブで知り合った女性を追いかけてきた男、偽装結婚のカモにされた男…所持金ゼロ、住む家もない彼ら「困窮邦人」に手を差し伸べるのは、フィリピンの貧しい人々だった。男たちのすさまじい生き様を通して現代日本の問題点をあぶり出す、渾身のルポルタージュ。第9回開高健ノンフィクション賞受賞作。
目次
第1章 フィリピン人に助けられて(寝場所は教会;困窮邦人 ほか)
第2章 利用された人生(新聞配達員の希望;偽装結婚 ほか)
第3章 逃げ続ける若者(追い詰められて;逃亡犯 ほか)
第4章 海外で失った自由(障害者施設;自己責任 ほか)
第5章 掛け違えたボタン(一直線の人生;キャンディ ほか)
著者等紹介
水谷竹秀[ミズタニタケヒデ]
1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。ウエディング写真専門のカメラマンや新聞記者を経て、ノンフィクションライターとしてフィリピンを拠点に活動中。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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4fdo4
15
フィリピンクラブのフィリピーナを追っかけて。 偽装結婚にだまされて。 借金苦から逃れて。 そんな理由でフィリピンに渡った男達。 待っているのは、所持金ゼロのどん底生活。 ある者は教会で寝起きして屋台を手伝い日銭を恵んでもらい ある者は身体障害者となり寝たきりとなっていた。 ビザが切れているので不法滞在となり その罰金を支払わないと強制送還もされない。 日本大使館は立替はしてくれない。勿論である。自己責任。 日本の身内からは見捨てられ、何のために生きているのかさえも分からなくなる。そんな彼らの生き様のルポ。2014/10/04
0717
11
様々な理由でフィリピンに渡航し、所持金も尽きて大使館に駆け込んで来る人が年間300人は超えるらしい。多くはフィリピンパブに入れ込んで、借金苦から逃れる為、日本とは違う自由気ままさが気に入って渡航し、半ば騙されるように所持金を失い路頭に迷いホームレスの様な生活に陥る。中には病気で命を失う人も。そうした日本人を支援しているのが、同じく貧困に喘ぐ現地のフィリピン人だったりする。昔の知人で妻子を捨ててフィリピン(タイだったかな?)に渡った人がいたけど、今頃どうしてるんだろう・・・。2014/10/30
ちょこちん
10
★★☆☆☆ ダメンズ物語。2020/03/10
paluko
8
フィリピン在住YouTuber「アキラ先輩」の動画で興味を持って、読みました。日本の親族にも実質、絶縁されて所持金も底を突き日々、オーバーステイの罰金が嵩んでいくため出国することもままならない、そういう日本人に援助の手をさしのべるのがフィリピン人の貧困層という皮肉。日本の外務省の担当者も「フィリピンの親切で優しい国民性はいいことだと想うが、その面倒見のよさが逆に困窮者を生み出す環境を作る仇になっているのではないか」(208頁)と語るほど。「自分に都合のいいことしか言わない」困窮邦人も闇が深いかもしれないが2021/09/30
Ikuto Nagura
8
私の周りにもフィリピンパブが大好きな人たちがいる。たいてい風采の上がらない中年独身。本当は日本人の若い女の子が好きなのだろうが、当然のように相手にされないばかりか避けられる存在。そんな彼らは、フィリピーナ相手に横柄な態度で自慢話をするために、暇と金を見つけては店に通う。男としての、先進国民としてのプライドと見栄。そんな彼らを受け止めるフィリピン人の下心と優しさ。困窮邦人に献身的に尽くすフィリピン人と、施されてもなお横柄な日本人。下らないプライドと見栄さえ捨てられたら、彼の国は真のパラダイスになりそうだ。2014/10/07
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