出版社内容情報
「如水に謀反の疑いあり」。徳川家康は本多正純に真偽を確かめよと命ずるが…。黒田官兵衛・長政父子の情を絡め、日本史最大の謎、関ヶ原合戦に新解釈で挑み、官兵衛最後の采配を描く、戦国小説の白眉。
内容説明
関ヶ原合戦が終わった。天下分け目の大戦に勝利した東軍徳川方では恩賞問題に苦悩していた。黒田如水(官兵衛)に謀反の疑いあり!そんな訴えがあり、徳川家康は本多正純に真偽の究明を命じた。如水と石田三成との間に密約は存在したのか。東西決戦の絵図をひいたのは何者なのか。黒田如水・長政ら父子の情をからめ、関ヶ原合戦に秘められた謎の方程式を、鮮やかに解き明かした傑作長編。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。図書館に勤務するかたわら、短編で日本全史を網羅した『血の日本史』で90年デビュー。2005年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞を受賞。13年『等伯』で第148回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キャプテン
55
★★★★★_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1600年安土桃山時代─もう一つの関ヶ原編】関ヶ原とは、三成殿と家康殿が雌雄を決しただけなのでごさろうか?実は、この大戦で漁夫の利で天下を得ようとし、第三勢力を興した者がいたでござる。名を「黒田官兵衛」と言い、戦国屈指の軍師にござる。この書では、その謀略を追求する家康側と、謀略を隠し通そうとする官兵衛側の智略戦が描かれる。追求者の鋭さに、見ているこっちが冷や冷やしたでござる。「水の人」官兵衛殿…「風の人」家康殿…二人の描く遠望に清々しさが残る不思議な感覚。2017/12/04
扉のこちら側
41
初読。2015年218冊め。関ヶ原の戦いを東西の対決ではなく、黒田如水(官兵衛)を大三極とした三つ巴の戦いだと見てみると…。歴史は色々な見方ができるのだな。2015/03/05
emico
22
関ヶ原の合戦において、家康と三成を戦わせその隙に天下をとろうと如水が画策する三つ巴的な話。全くの架空の話ではなく、如水が九州で虎視眈々と天下を狙っていた史実を元に描かれている。ただそれは、その時をリアルに描くのではなく合戦の後、如水に謀叛の動きありとその疑いを家康に命じられた本田正純が追っていく話になっていて、これはこれで面白かった。2015/08/04
黒猫
20
とても面白かった。秀吉の参謀として名高い黒田如水の生き様がカッコいい。上杉謙信や武田信玄などとはひと味違う魅力がこの人にはある。黒田如水は戦国末期から徳川政権の過渡期に如何に自身を活かせるかを考えて生きた人です。石田三成と徳川家康を対決させて弱った所を九州から叩くという発想。また、本編でもわかるように内部工作を緻密に描く作者の筆力に感心する。現代にも蔓延るコネや嫉妬など様々な大名の陰謀を巧みに操り新たな国作りに一花咲かせようとする如水の生き様に惚れた。人に媚びず、しなやかに水の如く生きる。オススメですよ。2019/08/27
河内 タッキー
17
天才軍師として名高い黒田官兵衛だが、息子である長政が一体どう言う人物なのか?親子関係はどう言うものだったのか?興味があり読んでみた。可愛い息子が信長の人質時代に危うく殺されかけた。それに対し父親としてどう思っていたのか?そんなことがあって、関ヶ原後の左手は何をしていた?という冷ややかな態度にどう繋がるのか?そこがこの物語の核心になる。家康はタヌキだが、同じぐらい官兵衛もタヌキだ。2014/05/13