出版社内容情報
江戸の天才狂歌師の恋
江戸文学を語る上で欠かすことのできない、天才狂歌師・大田南畝。見染めた相手は遊女だった。狂歌仲間は見かねて恋の手助けをするが…多彩な人物を配し描く恋の顛末。第30回新田次郎文学賞受賞作。(解説/縄田一男)
内容説明
事の起こりは狂歌連で一番の年若、山東京伝に舞い込んだ縁談だった。「女房にするなら素人娘より、苦労を知る遊女に限ります」と唱える京伝に、ならばと出向いた吉原で、狂歌の天才・大田南畝は遊女の三保崎を見初めてしまった。さりとて南畝は妻子両親を養う、微禄の御家人の身。はたして恋の行く末は―。巧緻繊細な文体で江戸の粋人たちを鮮やかに描き出す第30回新田次郎文学賞受賞作。
著者等紹介
竹田真砂子[タケダマサコ]
東京都牛込神楽坂生まれ。法政大学卒業。1982年に「十六夜に」で第61回オール讀物新人賞、2003年に『白春』で第9回中山義秀文学賞、11年に『あとより恋の責めくれば』で第30回新田次郎文学賞をそれぞれ受賞。「フランス語版邦楽劇SHUNKIN」ほか新作舞踊など舞台作品も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
21
初めての作家さんで、ちょいと興味のある人物を描いた好著に出会えたのは嬉しい。 江戸後期の文人、大田南畝(ナンポ)。幕府御家人としては、平穏無事な暮らしを望む一方、世を倦む狂歌を詠む才人でもあった。 その妻子ある南畝が、遊里の女三保崎を見初めてからの顛末と、狂歌仲間たちのあれこれ。 解説では、時代考証は確かで、筋もしっかりしていて、文章にも淀みがないと。 埋もれてしまっているのは対象がメジャーでなく、ストーリーにもあえての華がないためか。でも、丁寧な作りには好感、江戸を覗くに好著だと思います。2014/10/17
Ryan
0
江戸時代の一面が推察できる。中々興味深い本。2017/04/17
たつや
0
新田次郎文学賞受賞作品。江戸の田沼意次が老中の時代に活躍した、狂歌師で御家人、大田南畝を巡る物語。大田南畝という人物を初めて知った。身分や職業を超えた、狂歌連の面々の人情が、江戸の粋な形で色々と現れ面白い2022/01/09