出版社内容情報
天稟の戦上手・義経、打倒平家の志を果たす
源義経率いる源氏の軍勢は、ついに壇ノ浦に平家一門を滅ぼす。一方で、冷徹なる政略を用いて源氏再興を目指す兄・頼朝との間には、埋めがたい溝が広がる…。中山義秀文学賞受賞作。
内容説明
公家から武家へ。新時代到来を告げる源平合戦。兄・源頼朝は、関東武士団の抱えた特殊性に悩まされながらも、天下創建への歩みを着実に進める。弟・義経は、都にあって大天狗・後白河法皇から格別の厚遇を受け、幼き先帝と三種の神器を取り戻すべく征西の途につく。鵯越、屋島、そして壇ノ浦。天性の戦上手は、ついに平家一門を追い詰める。第11回中山義秀文学賞受賞作。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。図書館に勤務するかたわら、短編で日本全史を網羅した『血の日本史』で90年デビュー。2005年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キャプテン
48
★★★★☆_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1184年/平安時代末期編】この書物の中では、義経殿が英雄とはされておらぬでござる。頼朝殿も神経質で嫌らしく、二人がすれ違っていくのは納得のいたり。兄弟とは不思議で、お互いに太陽であり、影である。屋島の戦いは、見応えがあったでござる。そして歴史は壇ノ浦の戦いへ。船戦の平家と、馬軍の源氏が、西と東の文化を背負って大激突したでござる。とんでも設定だが、両陣営、言葉も通じないということなので、拙者のもつぐーぐる翻訳を差出そうとしたが、歴史を変えるのでやめたで候。2017/10/31
しゃん
5
鵯越、屋島、そして壇ノ浦の合戦の有り様がリアルで面白かった。そして、この巻では、頼朝と義経の間に少しずつ溝が広がっていき、下巻の展開がどうなるか、楽しみ。それにしても、頼朝はなかなかの怜悧な政治家ながら、政子に、してやられる場面が多くそれが興味深い。2015/01/16
秋乃みかく
4
★★★☆☆ 平家は滅亡させたけど、源氏側の不協和音は大きくなるばかり…。さあ!いよいよ最終巻へ。2016/10/25
まりこ
4
義経は荒れた海の中船を出して奇襲したり、作法に反して水夫を射ったり、正攻法でないのが天才だけど、何か嫌な感じがする。それで調子に乗ってたら鎌倉方に嫌われるのもしょうがないような。義経より頭でっかちな頼朝の方が何故か好き。政子あっての頼朝という感じもあるが、嫉妬深くて嫌い。平家方の本も読んでみたい。2016/07/15
綱成
4
再読です。壇ノ浦の戦いまでです。義経は華々しく勝ち戦を重ねていきますが、頼朝との軋轢は深まっていきます。読み進めていくと義経と三国志の呂布が似ている気がします。共に戦の天才でありながら、戦に勝った後どうなるかと戦略が足りない。もし、義経に他者の意見を受け入れ、頼朝政権の中で生きていく姿を見られたら悲劇はなかっただろうと感じます。そうしない義経の大将という姿勢が儚さを一層深く描いているのかと思います。2015/06/07