出版社内容情報
【第8回渡辺淳一文学賞受賞作】
矛盾だらけのめちゃくちゃな世界で、
自分だけはせめてまっすぐでありたい。
児童虐待、ルッキズム、ソシャゲ中毒、ネット炎上、猫を愛するということ……
この現実(ルビ:カオス)と向き合う覚悟はあるか?
総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯がつまびらかに記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム・『リンドグランド』。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて……。
「かわいい」に狂っていく――。
誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編!
あなたは心の底から誰かのことを、かわいいと思ったことがありますか。かわいい、そう思った瞬間にその子のかわいさが絶対的事実として確定し、さらに増幅し、そうしてもうただかわいい、かわいい、と思いを重ねていくほかなくなる、そんな経験がおありでしょうか。(本文より)
【著者略歴】
古谷田奈月(こやた・なつき)
1981年千葉県生まれ。2013年『星の民のクリスマス』(「今年の贈り物」改題)で第25回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。17年『リリース』で第34回織田作之助賞を、18年「無限の玄」で第31回三島由紀夫賞を、19年『神前酔狂宴』で第41回野間文芸新人賞を、23年『フィールダー』で第8回渡辺淳一文学賞を受賞。
【目次】
感想・レビュー
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よっち