出版社内容情報
「会社の不利益になる人間を採る」
不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める--。
(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当な辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。
ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!
<解説/朝井リョウ>
【著者プロフィール】
石田夏穂(いしだ・かほ)
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2021年『我が友、スミス』が第45回すばる文学賞佳作となり、デビュー。同作は第166回芥川龍之介賞候補にもなる。22年『ケチる貴方』で第44回野間文芸新人賞候補。23年『我が手の太陽』で第169回芥川龍之介賞候補、第45回野間文芸新人賞候補。『ケチる貴方』で第40回織田作之助賞候補。他の著書に『ミスター・チームリーダー』『冷ややかな悪魔』がある。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
25
思ぬ形で発生した事件から起きた、不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野。会社の不利益になる人間の採用を心に誓い、密かな復讐を始める物語。彼女が導き出した、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶという選考方法。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していく中、果たしてその影響なのか、社会の必然だったのか、明確になってゆく如実な社内の変化、そして黄金比の「縁」が手繰り寄せることになった会社の思わぬ真実。なんだかなと思う気持ちを抱きつつも、これまでの自分を顧みてあっさりと決断を下す小野の姿がなかなか印象的でした。2025/06/20
ムラサキ
0
まず思ったのは、これマジ?って事。人事部の新卒採用の過程が話の中心なんですが、第一選考の選考の仕方が小野さんの思考を実現するためのフィクションなのか、現実の実態なのか気になりました。また、とある事情で小野さんが所属する会社に復讐しようとしますが、そのやり方が面白い。確かに長期的に考えれば損かもしれないけど、短期的に言えば特してんじゃない?って個人的には思いました。あと、朝井リョウ先生の解説も興味深いです。小説の定義や構造的な話を詳しく書いてくれていて、小説の読み方や楽しみ方が少し変わった気がしますね。2025/06/22
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