出版社内容情報
1941年、日本占領下の福建省廈門。
大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。
中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。
しかし、楊から秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。
戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。
【著者略歴】
青波 杏(あおなみ・あん)
1976年、東京都国立市出身。近代の遊廓の女性たちによる労働問題を専門とする女性史研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。
内容説明
1941年、日本占領下の中国・廈門。カフェーで女給として働くリリーの正体は、諜報員だ。ある日、抗日活動家の楊から日本人諜報員の暗殺を指令され、女性狙撃手のヤンファと共に過ごすことに。次第に彼女に惹かれるリリーだったが、秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった…。女性スパイの暗躍と葛藤を描く、長編。第35回小説すばる新人賞受賞作。
著者等紹介
青波杏[アオナミアン]
1976年、東京都生まれ。近代の遊郭の女性たちによる労働問題を専門とする女性史研究家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。2022年、『楊花の歌』(「亜熱帯はたそがれて―廈門、コロニアル幻夢譚」を改題)で第35回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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