出版社内容情報
ふと迷い込んだ人生のエアポケット、誰もに起こりうる運命の理不尽。短編の名手が【思わぬ落とし穴】を描いた切れ味鋭い5作品。
内容説明
「出番が来たん違う?」十六年前、神戸での震災支援を機に立ち上がったものの、その後困窮を続けるNPO法人の代表・甲斐は介護士のかすみらと共に一関に向かう。過去の経験を説き、被災地の小学生七人を率いて東京で募金活動を始めるが―。(「仮面」)誰にも起こりうる、運命の理不尽。ふとした瞬間に生じるエアポケット。短編の名手が“人生の落とし穴”を描き出す、切れ味鋭い五作を収録。
著者等紹介
辻原登[ツジハラノボル]
1945年和歌山県生まれ。90年『村の名前』で芥川賞、99年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎賞、10年『許されざる者』で毎日芸術賞、12年『韃靼の馬』で司馬遼太郎賞など、受賞歴多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
79
辻原さんの短編集です。5つの作品が収められていてその時代時代の様々な実際に起きた事件などをうまく利用している気がしました。またご自分のことかと思われるような作品もあります。一番印象に残った「いかなる因果にて」は小学校の時の嫌な数学教師を何十年後かに奥さんと訪ねる話で辻原さんの故郷である和歌山の奥深いところです。また吉田秀和の墓もあって訪ねています。2024/12/24
ぼび
2
6/52025/04/14
劇場型
0
いきなりはしごを外すことによって現実への無力感を浮き彫りにさせる、という試みはわかるし評価したいが、それにしても味気ないなぁと思ってしまう短編集だった。(文章は読みやすいが、なかなか特徴が見えてこないとも言える……。)無力感の配置のしかたは、一見不可解な報復事件とそれさえ叶わなかった一人の同級生について扱った「いかなる因果にて」が一番うまいと思うし好きだった。復讐の不可能性なんてことは考えたこともなかったが、確かにそうですよね。2025/07/18
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