出版社内容情報
往年の輝きを失い、休館の危機を迎えた映画館「金猫座」。そこに集まるのは、訳ありな人ばかりで!? 笑いあり、涙ありの人情劇。
内容説明
大学生の高瀬歩は、かつて母を捨てた“金猫座”の支配人・健司を訪ね、半ば強引に受付のアルバイトになるが、そこは訳ありの人々が集まるポルノ映画館で!?(「昭和の男」)「咽喉チンコ引っこ抜かれたいんかい、おばはん?」ふとした拍子に『仁義なき戦い』の大友勝利が憑依してしまう気弱な映写技師のてん末とは(「仁義なき男」)。映画好き・映画館好きに贈る、ユーモアと感動に満ちた人情劇場。
著者等紹介
加藤元[カトウゲン]
1973年神奈川県生まれ。2009年『山姫抄』で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のんちゃん
26
オフィス街の片隅に大正末期からの歴史を誇る映画館、金猫座がある。昔は地上三階建で邦画の封切り、ニュース映画、洋画と沢山の座席数を有したものだが、今は少ない席数のポルノ映画館になり客入りもまばらだ。そんな映画館に集う人々の物語。映画、映画館好きの加藤先生が描きたかった一作。作者あとがきの通り、どこの映画館で、誰かともしくは一人で、何を観たかは全て自分の人生の一部を確かに作ってきた思い出だ。今はシネコンしか近くにないが、かつて東京有楽町にあった日劇の様に二階建て三階建ての映画館でまた映画を観てみたいと思った。2024/05/12
ベローチェのひととき
15
妻から廻ってきた本。オフィス街の一角にある金猫座というポルノ映画館に関連する人々を描いた4編からなる連作短編集。支配人の元カノの娘がアルバイトで映画館の窓口の仕事をする話、映写担当のフリーターの話し、金猫座のオーナーの話し、受付窓口のおばあちゃんの話しと盛りだくさんであった。時代の移り変わりを切に感じる物語であった。2024/06/01
Mayrin
13
少し前まで近くに似たような映画館があったので、気になって読みました。昔ながらの映画館の設定や、ポルノ映画館あるあるが面白かったし、登場人物も良かったです。2023/11/05
流石全次郎
6
古い映画館を舞台とした連作短編というか章毎に主役は変わってつながっていきました。今年知人から「ここでこんな映画が上映されますよ」と言われて行った映画館の雰囲気を思い出しました。そこはJRの高架下で高校生の頃はポルノ映画館。当時の高校の同級生は「大学生1枚」と言って映画館に入ろうとして「嘘つけ高校生やろが、あんたらの来るところじゃない」と門前払いされたという映画館。物語もこんな感じかな。2023/10/11
なんてひだ
5
映画館がどれだけ好きか関わった人間たちの各々の想いが溢れている。本当に映画が好きなんだな〜というか作者が映画館に特別な想いがあったのが伝わった。なお言うと左端に座る祖父まで出ているので。驚きは4人目がキクエさんだった事と想像した感じではなくて〜かな。あっ女子大生と付き合うことにしたのかと再開出来てる事がキクエの回で=知りたい事が満載ですね。あっ映画館のピンク映画が舞台の小説はなかったし、地元にポルノ映画あった潰れたけど、昭和の物語出せるってさすが。2024/02/19