出版社内容情報
医療現場の闇にフリーライター木部美智子がメスを入れる。『蟻の棲み家』でベストセラー作家となった著者の初期傑作ミステリー。
内容説明
悪名高い宗教家が入院中に死亡した。多額の布施を強要されて家族を失った老婆が「自分が呪い殺した」と名乗り出る。しかし疑いの目は研修医の工藤孝明に。濡れ衣を晴らし個人病院の勤務医になった工藤だが、またも彼の目の前で患者が死亡する!取材を進めるフリーライターの木部美智子は、「呪われて」死んだ者がほかにもいることを知るが―。人間が秘める暗部に鋭く迫る社会派ミステリー。
著者等紹介
望月諒子[モチズキリョウコ]
愛媛県生まれ。銀行勤務を経て、学習塾の教師を勤める。2001年『神の手』でデビュー。11年『大絵画展』で第14回ミステリー文学大賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
木部美智子シリーズ!改訂版だそう。望月さんのこのシリーズはじっくりと読ませる。はずが、ずっと誰が?とか何故?とかいや~な感じが頭にこびりついて、ジリジリとペースが上がらなかった。そしての三章から四章へ真相が見えてくると、もうそこは怒涛の展開。はぁ・・なのにこの結末はモヤモヤしてしまう。ただただ工藤医師が気の毒だった。2023/01/24
H!deking
77
最近ハマっている木部美智子シリーズ。フーダニットとかハウダニットとか出尽くした感があるけど、うまいことすり抜けてきますね。途中ちょっと中弛みしますが大オチは面白かったかな。工藤くんは本当にツイてない笑2023/08/14
yukaring
74
ジャーナリストの木部美智子シリーズ。今回彼女が追うのは『呪いによって人は本当に死ぬのか?』信者から多額の金銭をむしりとり、多くを破滅させた宗教家が病院で急死。彼を呪い殺したと1人の老婆が名乗り出るが呪いなどあるはずもなく医師の工藤に疑いがかかる。そしてその工藤が関わった患者がまた1人死亡する。その患者も老婆に呪われていた・・。急死した人々と怪しいメール、使途不明の巨額の金銭などの不穏な現実が調査により次々と明らかに。呪いと欲望、正義など人間の思惑が絡みあった闇から驚きの真相が暴き出される社会派ミステリ。2023/01/07
えみ
69
現実をよく知っている記者に、科学的根拠に基づいた医療の世界に身を置いた医師。彼らが惑うのも無理ない。ある宗教家が病院で不審な死を遂げた。「呪い殺しました」と犯行を告白する老女。呪い?誰に?彼に?不信・憎しみ・恐怖…そんな感情で胸の内の99%を埋めつくされたとしても、残ってしまった僅か1%の優しさが非難することを邪魔するのか。哀れで情けなくて、何とも言えない虚無感に襲われる。世の中も、人間も、自分でさえ信じられなくなることばかり。ひとりの医者が呪いの残滓に中てられた切ない事件。呪いより恐ろしいのはやはり…。2023/03/17
Kazitu
62
社会派ミステリー。解説者が望月諒子の語りに掴まれると、絶叫マシンに乗ったかのようにぶんぶん振り回されると言っていたが…。何だろう。呪いとは?読みやすいけど、私的には、はまらなかった。2023/10/05