出版社内容情報
楡 周平[ニレ シュウヘイ]
著・文・その他
内容説明
内科医の輝彦は妻の絶叫で目覚めた。父の久が風呂場を覗いていたと言うのだ。不可思議な言動から父の認知症を確信した輝彦は、元医者の久が作成していた事前指示書に従って旧友が経営する病院に入院させるが、ほどなく亡くなってしまう。あまりの急さに呆然とする家族だったが、そこにはある盟約が隠されていた。家族が、あなたが、認知症になったらどうする?命の尊厳と向き合う傑作長編。
著者等紹介
楡周平[ニレシュウヘイ]
1957年岩手県生まれ。米国系企業在職中の96年に書いた『Cの福音』がベストセラーになり、翌年より作家業に専念する。ハードボイルド、ミステリーから時事問題を反映させた経済小説まで幅広く手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なっち
34
楡さんお初。人間の尊厳とは何か。医療が発達し寿命が延びたこの国で安楽死が認められることはないのか。大切な家族に甚大なる負担をかけてでも生きながらえたいと思う人がいるだろうか。先日映画「ロストケア」を観ました。誰もが当事者です。もしもの時のことを今から考えておかなければ…2023/04/12
さち@毎日に感謝♪
29
あらすじに惹かれて読みました。初読み作家さんです。認知症介護、終末医療、財産分与争いのテーマでした。議論はされているけれど解決策は見つからないこの問題、色々と考えさせられました。2022/11/27
橘 由芽
9
あなたならどうする?をつきつけられ何ともいえない気持ちをもて余す自分です。ある程度の年齢に達した人ならば誰でも避けては通れない認知症の問題、、、 人間が生きるとはどういうことなのか、命とは?安楽死、尊厳死が議論され続けて久しいけれど、恐らくは今後も日本においては一律の結論には結びつくことはないでしょう。今年読んだ本の中で一番印象に残った小説になりました。2022/12/24
かずぺん
9
精巧に組み立てられた家族の物語である。誰しもがその家族の状況になり得る。この長寿社会を国はどう考えるか。自分はどう考えるか。大きな問題提起である。2022/11/21
akiko
7
職業柄、認知症については認識していると思う。そして自分もこの兄弟と同じ思いだ。未来はわからない、まして明日のこともわからない。この問題について考えると、様々な不安で一杯になる。今から出来る対策をしたとしても、100%万全ではない。フィクションとして読みながら、自分のこととして重ねて読んでしまった。とても重い、答えのないテーマです。2022/11/28