出版社内容情報
「これは家出ではないので心配しないでね」
14歳と17歳。ニューヨークの郊外に住むいとこ同士の礼那と逸佳は、ある秋の日、二人きりで“アメリカを見る"旅に出た。日本の高校を自主退学した逸佳は“ノー(いやだ)"ばかりの人生で、“見る"ことだけが唯一“イエス"だったから。
ボストン、メインビーチズ、マンチェスター、クリーヴランド……長距離バスやアムトラックを乗り継ぎ、二人の旅は続いてゆく――。
美しい風景と愛すべき人々、そして「あの日の自分」に出逢える長編小説。
【著者略歴】
江國香織(えくに・かおり)
1964年東京都生まれ。
2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で第15回山本周五郎賞
04年『号泣する準備はできていた』で第130回直木賞
07年『がらくた』で第14回島清恋愛文学賞
10年『真昼なのに昏い部屋』で第5回中央公論文芸賞
12年「犬とハモニカ」で第38回川端康成文学賞
15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で第51回谷崎潤一郎賞を受賞。
著書に『きらきらひかる』『左岸』『抱擁、あるいはライスには塩を』
『はだかんぼうたち』『なかなか暮れない夏の夕暮れ』ほか多数。
小説のほか童話、詩、エッセイ、翻訳など幅広い分野で活躍している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
93
【秋なので旅の本月間】「これは家出ではないので心配しないでね」ニューヨークに在住していた14歳と17歳の二人の少女(従妹)は、そう書き置きだけ残して“アメリカを見る”旅に出た。ボストン、メイン州ポートランド、メインビーチズ、マンチェスター...秋の美しい風景とローカルの人々。二人の旅は続きます。ノーの多い逸佳と屈託のない礼那はいい組み合わせのカップル。読んでいるとそんな二人のことが好きになっていきます。愛おしくなっていきます。下巻で二人の旅がどのようになっていくのか...楽しみでもあり、恐くもあります。2022/09/22
夜長月🌙新潮部
56
17歳の逸佳と14歳の礼那がニューヨークの自宅からアメリカ西部を目指して家出をします。あなたがわずかながらでも「冒険心」を持ち続けている大人であればこの作品はおすすめです。旅に限らず人生は常に「一過性」のものです。あの人との出会いにも、あの本との出会いにも、その時だったからこそ得られた感情があります。今を大切にする、この物語の続きがとても気になります。急ぎ下巻へ。2025/01/17
エドワード
54
ニューヨークに住む、従姉妹同志の逸佳と礼那はある日ふらっと旅に出た。「これは家出ではないので心配しないでね。」久しぶりの江國さん。しかも10代の少女ふたりがアメリカを旅する。実にエキサイティングだ。若者の気ままな旅。バスやヒッチハイク。楽しいだろうなあ。メイン州はワイエスの故郷、ニューハンプシャー州はアービングの小説の舞台。江國さんはフィレンツエやパリの印象があるけれど、私の知らないアメリカ、それも東海岸の人々と空気感が新鮮だ。カバードブリッジ、コグ式機関車などは画像検索しておぉ~と感動。下巻へ続く。2022/05/05
佐島楓
43
詳しい感想は下巻にて。それにしても不穏な空気を書くのが巧いなあ。2022/05/13
星々
29
14歳の礼那と17歳の逸佳。ニューヨーク郊外に住むいとこ同士の2人は、ある秋の日、旅に出た。 アメリカを旅する2人が事件に巻き込まれないかヒヤヒヤする反面、若い時に旅をするのはかけがえのない経験になるだろうな。と羨ましく思う。 旅をする道程を実際にGoogleマップで追うのが楽しかった。2023/07/06