出版社内容情報
男に赤道を見に行こうと誘われた人妻「赤道奇談」など。ブラックな仕掛けや男女の謎に背筋がすーっと冷たくなる11の傑作短編集。
内容説明
全身黒ずくめの男に、手相を譲ってほしいと言われた学生が、先生に相談を…「掌の哲学」。一人息子が結婚して家を出た。独りで迎えたお正月、母の身に…「母は愛す」。兄と似ていないことを気に病む弟。家族で温泉に行き…「兄弟姉妹」。正義感の強い伯母が、列に割り込む男に注意した。薄く笑った男は…「年の瀬」。洗練されたブラックな仕掛けと艶かしい男女の謎。日常に潜む不可思議な世界を描く11編。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。国立国会図書館勤務を経て、作家に。79年『来訪者』で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞受賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞受賞。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
88
阿刀田さんの過去に出版された作品集の中から横断的にブラックユーモアなどの観点から11の作品を集めた短編集です。私はすべて読んでいるのですが、忘れてしたりしているものや読んでいるうちに思いだしたりするものがあり再度楽しむことができました。「掌の哲学」などは世界が大きく感じられたりします。解説が原田マハさんでこれも楽しめました。2022/02/26
クプクプ
73
新年一冊目は、阿刀田高さんの短編集を選びました。新しい本なので文字は大きいですが、作品の時代は、おそらく30年以上前です。どの短編も起承転結がしっかりしていて、オチのブラックユーモアが効果的でした。阿刀田高さんは、短編の名手と呼ばれていますが、初めて、その言葉にふさわしい作品を読みました。中には背筋が冷たくなる作品もありました。2024/01/06
優希
44
極上のブラックユーモアが詰まった短編集でした。切なさと悩ましさを感じさせる不思議な世界を見ているようです。男女の艶と日常の不可思議を感じました。面白かったです。2024/02/23
LaVieHeart
12
どの作品も「ここ」というピンポイントはないのだけど気づいたら何故か惹き込まれているという短編集。想像力が鍛えられる作品の数々だった。 あまりスッキリしない読了感の作品がほとんどだが、「えっ。。。」とか「あっ。。。!」とかなるどんでん返しがクセになり、すっかり阿刀田高さんのファンになってしまった。他の作品を調べたら、「ギリシア神話を知っていますか」を書いた方だ! 。。。記憶にない程大昔に読んだような。。。? 家宅捜索してみよう。。。 個人的には、「鰐皮とサングラス」に身を引き締め、「年の瀬」に心が傷んだ。2024/04/18
ろこぽん
11
最近阿刀田さんの短編を片っ端から読んでるけど、よくもこんなに次々と。。。面白いなー。解説の原田マハさんが私の気持ちを全部言い当ててくれました。 中でも「選抜テストが」めちゃくちゃ面白かった。そうよね、神様もいちいち聞いてられないよね。2022/08/11