出版社内容情報
地学部に入ったハズなのに瞬はクライミングで、かつての名選手・花音は大好きな地学で五輪を目指す。クライミング×地学×青春!
内容説明
桜舞う高校の入学式で、瞬は一目惚れをした。その相手、花音はトラウマを抱え引退した元ユース・クライマーだ。今は地学オリンピックを目指す花音に誘われるがまま地学部に入ったのに、ひょんなことから才能を見いだされた瞬はクライミングで五輪を目指すことに!しかし、世界は未知のウイルス蔓延に襲われ、五輪の中止が決まり…2人の夢は?さらに、淡い恋の行方は?圧倒的青春小説!
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。東京大学教養学部卒業。日本テレビ入社後、科学技術庁、気象庁担当記者を経て、97年退社。98年『夏のロケット』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
118
同級生の花音に惹かれて地学部に入部した瞬は彼女の幼馴染に誘われてクライミングにものめり込む。研究に情熱を注ぐ部員たちから地学の広がりとその魅力が熱を帯びながら語られる。こうした科学の知的興奮を瑞々しく伝えるのは著者の得意とするところ。「一つのことを極める」者と「いくつもの回り道を」する者たちの対比と表裏一体性は本書の重要なテーマ。コロナ禍で挫折する前者たちを厳しい制限下で育った主人公が救済するクライマックスは爽やかな後味と希望を残す。制限のループの中、未来は抗いがたい力で新しい絵が描かれるのを待っている。2021/11/02
みゆき・K
22
地元紙、学校図書館司書のお勧めコーナーで見て手に取った。クライミングと地学の組み合わせが面白そうだと思ったが期待外れ。クライミングの専門用語がたくさん出てきて理屈っぽい。なかなか話が進まず、冗長で疲れた。その上登場人物が良い子ばかりで背中がムズムズする。特に人気者の夏凪のキャラが嫌い。こういう聖人君子みたいなタイプは苦手。勝手にみんなのことをファーストネームで呼ぶのも馴れ馴れしくて嫌だ。最後100ページは斜め読み。「爽やか青春もの」が好きな方にはお勧めの一冊(多分)2022/01/20
びぃごろ
21
新聞書評を読んで手に取る。クライミングと地学を掛け合わせるとは何という目の付け所だろう。どちらもオリンピックを目指す高校生の青春ものだ。暗く地味なイメージの地学部とは違う、新しい魅力を感じる一冊になっている。ブラタモリによって私に地質に関する知識が少し増えたからだろうか?専門用語が分からないながらも、そのマニアックさも面白いのである。「地学とは地球科学。地球は生命の星だから、物理や化学が必要なだけでなく、生物の知識や道具も総動員しなければならない理科の王!理科全部入りの総合格闘技で、十種競技!」(笑)2021/12/30
kk
19
地学とクライミングという、あながち繋がりがないわけじゃないけど、普通に考えるとかなり遠い2つのものを、半ば強引にブレンドして掻き回して、美しく夢豊かな青春ものに仕立て上げた物語。川端先生、もともと地学マニアなのは存じてましたが、最近はクライミングにハマってらっしゃるってことでしょうか。そんなこんなと考えながら読んでたところ、たまたまTVをつけたらちょうどクライミングのワールドカップの中継をやってました。このシンクロに驚くとともに、kkもクライミングの魅力にちょっと目覚めてしまいそうになりました。2021/06/22
ヨシ
11
瞬のモットーは『平熱』。腎臓病で野球を諦め運動から遠ざかるようになった瞬は、一目惚れした花音に誘われて地学部に入った。花音は元ユース・クライマーで、ひょんなことから、瞬はクライミングで五輪を目指すことになってしまい…地学部がクライミングをするという設定は強引すぎるけど、地学もクライミングも恋も楽しめた青春小説。ちくしょー、若いっていいな〜!2023/08/17