出版社内容情報
オバマ元大統領の「原点」を秘めた知られざる前半生に、追加章として米国大統領の系譜をめぐる骨太の論考が加わった渾身の作。決定版!
内容説明
ハワイとインドネシアで生まれ育ったオバマは、なぜアメリカ大統領になれたのか?米政治分析に定評のある気鋭の政治学者が、独自の人脈を駆使してオバマ関係者80人に直接取材を敢行。米報道が軽視した知られざる「前半生」を追い、大統領の窮屈な条件を可視化する。トランプ、バイデン両政権に残された遺産の功罪を大幅加筆。スクープ写真と斬新な視点で米国でも注目された本邦発の意欲作!
目次
第1章 「帰国子女」の大統領―母が愛したジャカルタの幻影
第2章 「ハパ」の大統領―太平洋のバイレイシャル
第3章 「詩人」の大統領―「知」をめぐる覚醒
第4章 「オーガナイザー」の大統領―信仰と人種の「約束の地」
第5章 「プロフェッサー」の大統領―サウスサイドの境界線
第6章 「脱党派」の大統領―アメリカ政治のパラダイムシフト
終章 オバマのアメリカ―TIME FOR YOU TO BE OBAMA
文庫版増補章 「オバマ後」時代の光と影―二つのポピュリズムを抱えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Inzaghico (Etsuko Oshita)
7
初の「黒人」大統領誕生として最初は熱狂的に受け入れられたオバマだったが、黒人と白人のバイレイシャルであり、母が再婚して住んだインドネシアや、学生時代にハワイでかなりの歳月を過ごしてアジアの文化も身についているハワイでは「黒人大統領」というレッテルを快く思わない知り合いは多かった。周辺の関係者からの聞き取りを丁寧に重ねて、外側からオバマの人となりを浮かび上がらせる手法だが、多面的なオバマがわかり、成功している。ちょっと情報を盛り込みすぎのきらいはあるが、オバマ自伝『約束の地』の副読本としてうってつけだ。 2021/06/23
げんき
2
最近漸く発刊された回想録も含めオバマ自らの語りでは意図的に抑制されている前半生を丁寧に取材した書。黒人とはいえケニア人留学生出身の父とカンザス州出身の白人の母を持ち、継父の故郷インドネシアと日系人の存在感の強いハワイで育ったという背景は異文化への視野の広さという点でオバマを例外的な存在にしている。卓越した知性と文学青年だった過去も含めて、こうしたオバマのアイデンティティはアメリカの有権者にとっては「わかりにく」く、「オバマ大統領」は誕生時点で世界史的偉大さとその後の挫折をともに運命づけられていたのだろう。2024/01/27
シルバー井荻
0
キンバリー・ライトフォード州議会議員は二九歳のころ、先輩格のオバマに相談に行ったことがある。そのときオバマはこうアドバイスをした。 「僕たちは当選すると、議会に行って一夜にして世界を変革しようと思うよね。でも、それは絶対に起きやしない。すべてには順序がいる。ゲームの仕方をまず学ばないといけないよ。まず友達をつくらないといけない」 そしてオバマは小切手を取り出すと、ライトフォードに五〇〇ドルの寄付をした。選挙資金に困っていた後輩に先輩からできる、ささやかなことだった。オバマはライトフォードの新しい兄になった2022/07/18
jouta h.
0
バリーはインドネシア、ハワイ、シカゴで成長した。憲法学者のバラク・オバマのゼミ形式の授業に参加、試験を受けたかった 今後の文学者としてのバリーに、期待!2021/10/07
kobayo
0
前半生に興味が湧いて手にした。人脈、取材範囲、また日本人が取材すること等、多角的にオバマ氏とは、が伺える。2021/08/07