出版社内容情報
おおむね楽しく、すこしふしぎなカワカミさんの日常。2008~2013年の日記を収録した、文庫第2弾。単行本2冊分を収録。
内容説明
突然できた花屋に肩入れして、後に引けなくなる。「あのね、おかあさん、今ニューヨークにいるの」と電話する女の人と、吉祥寺駅前の銀行で遭遇する―ほんとうだったりそうでなかったりするカワカミさんのライフワーク的日記シリーズ、文庫化第二弾。いろいろあった六年分を、ぎゅぎゅっと一冊にしました。門馬則雄さんの描き下ろしイラストレーションも加わった、素敵に楽しい文庫版です。
目次
東京日記3 ナマズの幸運。(鳩の鳴きまね。;みなぎる気力。;前世はぜいろく。;居ながらにして。;大阪に、行きました。 ほか)
東京日記4 不良になりました。(十七回め。;アフターデス。;無駄なのでございます。;聞き耳をたてる。;おかあさん、ニューヨークなの。 ほか)
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年に「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で芥川賞、2001年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、15年『水声』で読売文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぇけら
21
11月某日 晴 東京日記3+4を読み終える。おおいに笑い、おおいに感心した。生きた証というのは、学歴や年収や結婚などにではなく、ちょっと経てば忘れてしまう日常の些細な出来事にこそ宿っているみたいだ。このまえ初めて食べたしょっぱいクレープ(ツナマヨ)とか、近所にいつも干されている派手なピンクのパンティとか、大切なひとに言われたひどいことばとか(些細ではない)が、ぼくの生きた証をこの世界に鮮やかに刻んでいるのだろう。ありがとう、しょっぱいクレープ、派手なパンティ、ひどいことばたち。おかげでぼくは生きています。2021/11/13
橘
12
川上弘美さんの日々。ほんとうのことが10分の9くらいに上昇したようですが、ほんとうっぽいことと違うかもしれないことが曖昧です。わたしも仕事の書類で「下り藤」さんを見かけたことがあります。名字にひらがながあるなんて初めて見た、と同じ感想でした。2021/04/11
緋莢
11
平凡社から刊行している<ほんとうだったりそうでなかったりするライフワーク的日記シリーズ>の3、4をあわせて文庫化したもの。2008年から2013年の日記。携帯電話が苦手なので、家の電話から自分の携帯電話にかけて、右耳と左耳に当てて一人で会話をしてみたり、肩書が「キャンディードライバー」という運転手のタクシーに乗ったり。と、あらすじにあるような本当かどうか、はっきりしないものも あるのですが(続く2024/05/09
たっきー
9
単行本で既読。文庫を購入してすぐに読んでしまった。川上弘美さんの日常が綴られていて面白い。幸田文ごっこ、パンツ関係、老人の追跡、首振りパソコン、など。どこまでが事実でどこからが創作・想像なのかつきつめるのは野暮ってもんでしょう。最果タヒ氏の巻末エッセイも良し。「人として生活をする限り、生活の本当の姿は見えないのではないか」。2020/10/30
更夜
6
最初は通勤電車の中とか隙間時間に読もうと思っていた「東京日記」しかし、これは中毒性があって、もっともっととつい読んでしまいます。川上弘美さんの日常は「わからないことだらけ」銀行の窓口で何故、「今ニューヨークにいる」と電話する女性がいるの?やどかりの貝は引っ越しするときどうするの?テレビを買うのに「首振り」でないとなぜだめなのかな?なんでかわからないけれど、川上さんの日常にはピントが他の人と違った世界が広がっているのでしょう。やみつき。2023/04/29
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