出版社内容情報
僕の好きな人は、大人でも女性でもないんです──。欲望に弄ばれる二人の男と、その周囲の人々の葛藤を描いた衝撃の問題作。
内容説明
「…僕は大人の女性を愛せません。僕の好きな人は、大人でも女性でもないんです」子供への密かな欲望に苦しむエリート外商・久瀬。犯罪者にはなりたくないと、治療を求めて精神科を訪れるが―。幼い少女に繰り返し恋をする、小学校教師の森下。そんな自分の嗜好を知りながらも、ある一線を越えてしまい…。欲望に弄ばれる二人の男と、その周囲の人々の葛藤をリアルに描いた衝撃の問題作。
著者等紹介
木原音瀬[コノハラナリセ]
高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りゅう☆
67
子供しか愛せない久瀬に惹かれていく看護師でゲイの町屋。いい感じの関係でいたが、久瀬が小児性愛者(ペドファイル)であるということを町屋が知っていたことに気付いた時の久瀬による町屋への玉砕に空虚感が痛い。久瀬の甥伊吹は出版社に勤務。ホームレスで孤独死した伸春のペド人生に興味を持つ。そして叔父久瀬の性癖に気付いた時の衝撃に胸がざわついた。伸春がなぜペドであるのか、あの時こうでなければ気付かなくて済んだのか?とうとう一線を越え教職を辞した決意、その後の人生、孤独な最期になんと辛く苦しい人生だったんだろうと思う。→2024/01/22
卵焼き
46
あまり、気持ち良くは、読めなかった。2021/01/14
糸巻
32
小児性愛者である二人の男性と彼等を取り巻く人々の視点で描かれる連作短篇集。小児性愛者、というだけでどうしても構えてしまい、嫌悪感を覚えながら読むのだろうかと思っていたが、すんなりと入ってくる文章がとても心地良く初めての著者作品だが好きだなと思った。結局はやるかやらないか、という事なのだろう。性的嗜好は傍目には解らないし、この物語に出てくる二人も、デパートのエリート外商であったり周囲に信頼される教師であったりして、知らなければまさかの人物なのだ。静かなエピローグに心底ゾワッとさせられて読了。2021/01/01
hope
22
バレンタインデー、愛を告げる日だけど、彼らは愛を告げることすら“決して”許されない。 ペドファイル。苦しいのは、報われないことか、理解されないことか。個性とか多様性とか人権とか、愛とか正義とか社会とか、僕の中の価値観はミンチにされる。彼らを変態というカテゴリーに収めて排除してしまえば、僕たちは楽だろう。終始感じた胸糞悪さは、本ではなく自分自身にも向けたものかもしれない。2021/02/14
なみ
13
この話、いろんな角度から切り込まれてて、人はそれぞれその立場でものを考え判断し苦しんだり悩んだり…まあ勝手よね、と言えなくもなく。(久瀬のあの綱渡り状態の緊張感の危うさがなにか迫るものがあって一番私の心がざわついたかも)2020/09/23