出版社内容情報
長妻 昭 ナガツマ アキラ タイ ミズタニ タケヒデ
内容説明
遠く離れたバンコクの高層ビルで、一斉に電話を受ける日本人たちがいる―。日本語が話せれば誰でもOK。単調な受け答えをくり返すだけの毎日。非正規労働者、借金苦、風俗にハマる女、LGBTの男女…陽の当たらない職場で働く彼らの多くは様々な問題を抱えていた。「居場所」を求めてコールセンターにたどり着いた人々の物語は、現代日本社会の縮図だった。開高賞作家が描くもう一つの“現実”。
目次
第1章 非正規の「居場所」
第2章 一家夜逃げ
第3章 明暗
第4章 男にハマる女たち
第5章 日陰の存在
著者等紹介
水谷竹秀[ミズタニタケヒデ]
1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。ウエディング写真専門のカメラマンや新聞記者を経て、ノンフィクションライターとしてフィリピンを拠点に活動中。2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
74
タイにある日本企業のコールセンター。そこで働く様々な過去を持った日本人の実情。日本では大企業のリストラや派遣労働などで困窮する人々が増えている。それに嫌気がさす者、たまたま行った旅行先のタイが自分に馴染む国だったのでコールセンターで働きながらDJとして楽しむ若者、逆にタイで一緒に遊んだ男の子供を孕んで悩む女性、トラウマやストレスを抱えてやってきた人。お互いのことを詮索したり、いじめ、パワハラという課題が日本よりは少ないのだろうか・・・図書館本2024/08/26
hatayan
41
なぜ日本人がバンコクのコールセンターで安い月給で働くのか。 若くして明確な向上心を持って飛び出した人、年を重ねて日本から逃げ出すように流れ着いた人。事情は一様ではないながらも、陽のあたらないコールセンターが日本で生きづらさを覚えた人たちの受け皿になっていたことを明らかにします。 就職氷河期の世代でフィリピンに在住する著者の彼らに対する視線はあくまで穏やか。今の日本がネット社会で便利になったことと引き替えに新たな閉塞感を生み出しているのではないかとも問題提起します。 解説は元厚生労働大臣の長妻昭氏。2019/11/09
torami
32
バンコクのコールセンターで働く人々に取材したルポ。そこには日本のワーキングプア問題がそのまま移植されていた。 だが給料は安くとも、日本に生きづらさを感じる人たちにとっては暮らしやすいユートピアなのかもしれない。一方で、ひと昔前の大多数の日本人にとっては、空想のディストピアにしか思えないだろう。 本著を含め、海外で暮らす人々と多く話してきた著者の言葉には重みがある。彼らを安易に批判する人も擁護する人も、思慮の浅さを自覚せずにはいられなくなる。価値観を揺さぶられるルポだった。2019/11/21
香菜子(かなこ・Kanako)
27
だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人。水谷竹秀先生の著書。もちろん自ら望んでバンコク、コールセンターで働く日本人も少なからずいるはずだから、独り善がりで高慢な意見は言えないけれど、マイノリティーやいろいろなきっかけで一度や二度道を踏み外してしまった人を受け入れるだけの器が日本社会には無いという情けない現実があるのかな。2019/09/28
リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
25
タイバンコクのコールセンターで働く人達の背景。日本社会で生きづらさを感じる人達のオアシスかといえばそうではない。現地に日本人社会でも差別は存在する。駐在員と現地採用との高い壁。ただ何となく思うのはタイバンコクのコールセンターで働く人達が自分と無縁とは思えない事。2019/11/22
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