出版社内容情報
SNSの人間関係に疲弊し、AIに仕事を奪われる現代。新しい技術は人を楽にさせるどころか、私たちを苦しめる。そんな時代にどう生きるのか? 気鋭の政治社会学者が描く人間と技術の未来予想図。
堀内 進之介[ホリウチシンノスケ]
著・文・その他
内容説明
いつでも・どこでも・何でも・誰でもネットに接続され、日々、膨大な量の情報が交わされている。これを人工知能で分析することで近未来を予測し、適切な対応を講じる「あたらしい技術」の導入が進む。この技術は生活を便利にする一方で、終わらない仕事を増やし、人間関係に疲れる世の中に変えていく。本書では、技術と人間の関係を根本から問い直し、近代が前提としてきた人間中心主義を批判しながら、「技術による解放論」のビジョンを示すことで、いかに“善く生きる”かを問う!
目次
序章 私たちを揺るがす「あたらしい技術」
第1章 魂を支配するテクノロジー
第2章 それでも、つながらずにはいられない
第3章 人間と「あたらしい技術」は共存できるのか
第4章 “善く生きる”技術
第5章 失うことで未来は開ける
著者等紹介
堀内進之介[ホリウチシンノスケ]
1977年生まれ。政治社会学者。博士(社会学)。首都大学東京客員研究員。現代位相研究所・首席研究員ほか。朝日カルチャーセンター講師。専門は、政治社会学・批判的社会理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
33
データ社会の到来で私達は大きく変わったんだなと実感する。情報とモノが溢れる社会で私達はモノの情報を比較検討することすら放棄する「無関心化」に至った。それは「意欲しない」消費者。さまざまな個人データを基にしたマーケティングを通り越し、もはやマインドコントロールの域に達していると説く。あなたの為にという「善意」を携えて寄り添うAIは、ストーカーのようなものだとも言う。著者は、こうしたディストピア論から脱するのに必要なのは、人間とAIの単純な棲み分けでなく、非効率かもしれない両者の協業だと説いている。2020/09/22
nnnともろー
4
脅威論にも楽観論にも陥らずに、技術と人間の関係のあり方を論じている。新たな主体の獲得。些細な違和感を大切にしたい。2020/11/03
K K
4
良書。iPhoneを修理に出したら返っておかしくなり手放したいなというタイミングで読んだ。 我々はお釈迦様の手の平で転がされているだけである。自分の欲望までコントロールされ、支配されている社会。 AIがストーカーと共通点があるというのは納得。我々は人間らしさを失いながら、人間として認められたい。あなたのことを分かってていますという母的な愛を求めている。我々はどこに行くのか? 次の言葉には共感した。真にリッチな人生を歩みたいものである。 "リッチであるとは、不自由な面倒くささを生活様式に取り入れること。"2018/07/10
訪問者
4
よくある人工知能物とは違い、人間と技術の関係を哲学的にとらえる良書。2018/05/13
武井 康則
3
AIの普及で暮らしに余裕ができるはずなのに、現実は一層忙しくなるばかり。それは「常時接続」と「アップデート」のせい。新自由主義の世界ですべては自己責任となり、アップデート(成長)しなければおいていかれる。常時接続でどこでも仕事ができる。常に更新される情報をチェックしなければならない。未来はバラ色でなく、こうなった以上否定しても意味はない。ならば自分に有利なように使う技術を磨くしかない2018/05/25