出版社内容情報
チョコレートやアイスクリームなど様々な食品の「食感」を微粒子の結晶構造から解析し、その理想形を追求する食品物理学。最先端をいく「美味しい」物理の世界を徹底解明する!
上野 聡[ウエノサトル]
内容説明
チョコレートやアイスクリームなど様々な食品の「食感」を微粒子の結晶構造から解析し、その理想形を追究する食品物理学。そこには素粒子物理同様、今日の物理学をリードする最先端の研究が活かされていることは意外と知られていない。食品物理学が実現してきた、様々な「食感」とは?本書ではチョコレート以外にもマーガリンやマヨネーズといった様々な食品を対象に、宇宙物理との意外な関係など、最先端をいく「美味しい」物理の世界を徹底解明する。
目次
序章 食品物理学とは何か
第1章 チョコレートは「食べる結晶」
第2章 「美味しいチョコレート」のつくり方
第3章 マヨネーズの分離問題に挑む
第4章 マーガリンの「粗大結晶」問題
第5章 油脂研究の今後の課題
著者等紹介
上野聡[ウエノサトル]
食品物理学者。1961年神奈川県生まれ。広島大学大学院生物圏科学研究科生物機能開発学専攻食資源科学講座教授。広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。同生物生産学部講師、助教授を経て2010年生物圏科学研究科教授。専門は食品油脂の物性・状態変化の観察(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
71
この本を読んで「食品物理学」なる研究分野があることを初めて知った。様々な環境条件の中で、一番食品を美味しくするのにはどうすればよいか。そして、それはどのようなメカニズムの上に成っているのか。全体的にわかりやすく、まだこの分野でわかっていないことのほうが多いということも理解できた。どんな領域でも、研究って面白い。2017/01/06
ふろんた2.0
24
チョコレートはなぜ美味しいのかは導入部で、食品における科学的な研究について解説する。食品が環境変化に影響を受けやすく、物理学などと比較すると数値のぶれがとてつもなく大きいようだ。2017/01/31
クサバナリスト
12
図書館本のため、帯がなかったので分からなかったが食品物理学の内容だった。タイトルだけでは分からなかったが、帯にはしっかりと『食品物理学』の本であることが表示されていた。そのため、期待してたものとはかなり内容が違っていたが、『食品物理学』にふれることが出来たのは良かったかも知れない。食品ひとつ開発するのにも、科学的研究が大切なことが分かった。2017/02/12
チューリップ
6
チョコレート以外にもマーガリンやマヨネーズの話題もあって、食品化学に関する本という感じだった。理系な内容なので書いてある事全てが分かるわけではないんだけど、読みやすくて当たり前に食べている食品にも化学が働いているんだなと不思議な気持ちになった。研究でこうすれば美味しく食べられるって技術はあるけどどうしてなのかを科学的にはまだ説明出来ていないみたいなのが凄い面白いなあと思った。2022/10/30
ぺんちゃん
6
新聞の書評欄に載っていて興味を持った。専門用語は少し難しかったが、楽しめた。特にチョコレートを溶かして固めたものはまずいということに驚いた。そういうことをして、食べたことがなかったから知らなかったのだ。ココアバターには、ⅠからⅥ型の結晶の種類があり、Ⅴ型が一番おいしい。それは、融点が33℃なので口の中でとろりととける。しかし、Ⅵ型は融点が38℃なので融けない。しかも、Ⅴ型を溶かして固めると、Ⅵ型のチョコになってしまうため、おいしくなくなってしまうそうだ。身の回りの食品が物理学の成果だと思うとワクワクする。2017/02/26