出版社内容情報
第一高等中学の同窓生である正岡子規と夏目漱石は、意見を闘わせながら新たな表現を模索した。そんな「文学者の友情」を描きながら、子規が短歌に持ち込んだ「写生」概念の成立過程を解説する。
小森 陽一[コモリヨウイチ]
内容説明
一八九五年。夏目漱石は俳句を教わるという名目で、結核が見つかり意気消沈する正岡子規を松山に呼び寄せた。子規が得意とする俳句を通して、彼を元気づけるために…。第一高等中学の同窓生である二人は、意見を戦わせながら新たな表現を模索した。本書は、そんな「文学者の友情」を描きながら、子規が俳句・短歌に持ち込んだ「写生」概念の成立過程を解説。また、子規が病床で描いた随筆『墨汁一滴』『病床六尺』『仰臥漫録』にも焦点を当て、そこに通底する写実主義を読み解く。
目次
第1章 子規、漱石に出会う
第2章 俳句と和歌の革新へ
第3章 従軍体験と俳句の「写実」
第4章 『歌よみに与ふる書』と「デモクラティック」な言説空間
第5章 「写生文」における空間と時間
第6章 「写生文」としての『叙事文』
第7章 病床生活を写生する『明治三十三年十月十五日記事』
第8章 生き抜くための「活字メディア」
終章 僕ハモーダメニナツテシマツタ
著者等紹介
小森陽一[コモリヨウイチ]
1953年東京生まれ。北海道大学文学部卒業。同大学大学院博士後期課程退学。成城大学助教授などを経て、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専門は日本近代文学。「九条の会」事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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