出版社内容情報
著者は近代主義建築に限界を見出だす一方、地方にこそ人と人をつなぎ、自然と調和した建築の可能性があると考える。本書では自身の地方での建築プロジェクトを通し、新たな建築のあり方を提案する。
伊東 豊雄[イトウトヨオ]
内容説明
新国立競技場問題にも警鐘を鳴らし続けた、日本を代表する建築家の緊急提言。これからの建築のヒントは地方にあった!
目次
第1章 都市を向いた建築の時代は終わった
第2章 近代主義思想を超えた建築は可能か
第3章 地方から発信する脱近代建築―岐阜「みんなの森 ぎふメディアコスモス」
第4章 建築の始原に立ち返る建築―愛媛「大三島を日本でいちばん住みたい島にする」プロジェクト
第5章 市民が考える市民のための建築―長野「信濃毎日新聞社松本本社」
第6章 歴史文化に根ざした建築―茨城「水戸市新たな市民会館(仮称)コンペティション」
第7章 みんなの建築
著者等紹介
伊東豊雄[イトウトヨオ]
1941年生まれ。建築家。東京大学工学部建築学科卒業。菊竹清訓建築設計事務所勤務後、伊東豊雄建築設計事務所設立。ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、プリツカー賞など多数受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミッキー・ダック
26
東日本大震災以降、今までの近代主義的な建築・建築家像に疑問を感じた日本の代表的建築家が、新たな可能性に挑戦している。◆世の中の主流は、経済最優先の効率的な近代主義的建築や管理最優先の技術至上主義的建築。新しい在り方とは、ブランド化した建築家の表層主義建築でも、彼が追求してきた抽象的な空間至上主義的建築でもない。◆「経済の豊かさより心の豊かさへ」という思想転換に基づき、①自然との関係の回復②地域性の回復③土地固有の歴史・文化の継承④人々の繋がりやコミュニティの場の再構築、という4つのテーマを掲げる。 2019/12/06
さきん
19
著者は近代主義建築に限界を見出だす一方、地方にこそ人と人をつなぎ、自然と調和した建築の可能性があると考える。本書では自身の地方での建築プロジェクトを通し、新たな建築のあり方を提案する.事例:みんなの森 ぎふメディアコスモス、大三島を日本で一番住みたい島にするプロジェクト、信濃毎日新聞社松本本社、水戸の市民会館など。金融政策、財政政策まで批判するのはおかしいと思った。大型施設の設計が得意そうであるが、デザインが景観にマッチするかは微妙。思想がしっかりしていることは、良いと思った。2016/10/11
nbhd
11
建築の勉強を始めてから、隈研吾さんの本ばかりを読んできたせいか、だいぶ物足りなさを感じた。東日本大震災を経て、仮設住宅の人たちをつなぐ「みんなの家」をつくったり、瀬戸内海の島にコミュニティハウスをつくったり、の活動について書いてある本。東日本大震災以降に「共同体のための建築」に目覚めたってことが厚く書かれていて、阪神大震災についてはまったく言及されていないのが、まずギモン。建築家の円熟期が何歳ごろになるのかは知らないけど、70歳中盤の伊東さんが共同体の大切さを語っても、なんかおそい気がする。 2017/06/15
ネムル
11
伊東豊雄に晩年という自意識でもあるのか、自立した建築のドヤ感というか批評性というトゲが抜けて、風通しが良い。お上に与えられるのでない地方創成のあり方、その場だけの復旧でなくより射程の長い復興、使う人たちの側から考える建築。当たり前のことだが、まずそこに向き合わなければならないだろう。縁側のような、あるいは公園のような建築、素直に応援していきたい。2017/04/29
ophiuchi
11
最近この人の講演を聞いたばかりだけど、この本の方が分かりやすい。やや大仰なタイトルにも納得がいった。もう一度、岐阜メディアコスモスに行ってみようかな。2016/12/08