出版社内容情報
70年近く続いた「護憲」VS「改憲」の対立。そんななかに、著者は、第三の選択肢を提示する。すなわち「選憲」──現行の憲法を功罪共に検討したうえで、もう一度選び直しましょう、という提案である!!
内容説明
「護憲」でも「改憲」でもない第三の道とは?憲法の精神を守るために。1000人の聴衆に感銘を与えた幻の横浜講演。その感動がここに甦る!
目次
第1章 憲法の精神(権力を縛る;脱走兵ベイリーは言う―「わが憲法の精神に勝利あれ」;沖縄の裏切られた悲願 ほか)
第2章 自民党の憲法草案を検討する(憲法前文;人民か国民か?;天皇 ほか)
第3章 護憲・改憲・選憲(護憲、改憲、加憲、廃憲…;吉田茂の外交戦略;二枚舌 ほか)
日本国憲法と自民党改憲草案の対照(抄)
琉球共和社会憲法C私(試)案
著者等紹介
上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年、富山県生まれ。東京大学名誉教授。立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授。認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワーク)理事長。日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニア。近年は介護とケアへ研究領域を拡大(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中玉ケビン砂糖
47
侃侃諤諤な憲法議論の場に、よくもまああの舌鋒鋭い(というかおっかない)上野千鶴子を引っ張り込んだなと思う。講演会の内容を起こしたという形式だが、「おお、こわ」「けっこうなことです」「するってえと」「えー、なぜぇ?」だのと捨て台詞のように乱射される語句の数々は、決してテープ起こしのバイトもしくは編集者の遊び心などではなく、言論者や政治家、彼らをくさす世間に対する皮肉、いや怨嗟だ。紙の本となることで、それらは読者への極めて挑発的な檄文に変貌する。ひりつく。刻む。2019/09/25
壱萬参仟縁
27
憲法25条の生存権では、 生活保護受給は国民の権利なのに、 受けることが恥であるかのような スティグマ化が行政自らによって 行われていることが問題(76頁) とされる。 生活保護のネガ・キャンペーン は権利を主張できにくくさせた。 厚労省もそれで受給額を、 年金と同様、カットしていく 方向にある。 保守系政治家は市民が大キライ(100頁)。 公平中立がそんなにキライなのだ。 公平中立、民主主義なくして、 学術研究、読書の自由はないのではないか。 2014/05/25
シュシュ
16
上野さんの視点が面白くてスラスラ読めた。そして、自分の無知を改めて自覚し、改憲か否かよりも、憲法についてもっと知りたくなった。上野さんが言うように議論百出が必要だと思う。憲法の前文を作ろうという企画で優秀賞をとった十代の子の文章がよかった。自分たちは何を大切にして生きたいのか、つきつけられているようだった。2015/05/11
那由田 忠
9
「第三の道」とあって期待した。共和制化と国民を「日本の人々」に変える改憲提案でがっかり。これで護憲派にはびっくりされる、というそれがびっくり。ベアテ神話などは面白いが、ヒットラーが民主的決定で独裁になったとか、元首が危険だとか間違いがいくつもある。ワイマール憲法は天賦人権論でなく肝心の違憲立法審査もなくて、脅しで独裁化を進められた。準備に協力した弁護士の知識不足だろう。 大半の憲法改定議論のミスは根本的改定を考えること。これも同類。他国の改憲は大半が部分改定。憲法は根本を変えないのが最重要なのだ。2014/12/27
孤独な読書人
8
自分と考え方が違う論者の本を読むことはとても大切なことだと思う。選憲論というアイデアもなかなかの奇策だとは思う。ただ選憲によって選ばれるのが現行の日本国憲法だと想定しているところに甘さを感じる。2017/11/02