出版社内容情報
前衛芸術家として世界の美術界の頂点に君臨する草間彌生だが、そこまでの道程は平坦なものではなかった。本書は、草間がこれまでの人生で発してきた魂の言葉を集め、自らの闘いの軌跡と哲学を語る。
内容説明
前衛芸術家として世界の美術界の頂点に君臨する草間彌生。一九五七年に単身渡米し、七三年に帰国してから現在にいたるまで、国内はもちろん世界各国の美術館で大規模な個展が開催されており、多くのファンを魅了し続けている。「私は人の影響を受けたことがありません。自分自身の芸術を信じているからです」「私はこの水玉一つで立ち向かってやる。これに一切を賭けて、歴史に反旗をひるがえすつもりでいた」など、草間彌生がこれまでに発してきた数々の言葉から、自らの闘いの軌道と哲学を語った初の新書。
目次
第1章 芸術
第2章 闘い
第3章 人生
第4章 社会
第5章 生・死・愛
著者等紹介
草間彌生[クサマヤヨイ]
1929年長野県生まれ。前衛芸術家、小説家。57年渡米。画面全体に網目を描いたモノクローム絵画やソフト・スカルプチュアで高い評価を得る。60年代後半には多数のハプニングを行う。73年帰国。美術作品の制作を続けながら、小説、詩集も発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
71
前衛芸術家、草間彌生さんの言葉のエッセンスが詰まった1冊。草間さんの作品は見るものを圧倒するパワーがある。それは草間さんが強い信念をもって時代を切り開いてきた芸術家だからだと思う。「芸術家が特に偉くぬきんでた人種なわけではない」「どんな仕事に就いてようと、その人が今日よりも明日、明日よりも明後日と、自分の生命の輝きに一歩でも近づけたならば、虚飾と愚かさに満ちた社会のなかであっても、それは人間として生まれたことを示す、ひとつの立派な足跡となるのではないでしょうか」この言葉にとても励まされた。2015/07/06
Willie the Wildcat
69
スミレ、南瓜、網、そして男根?!たどり着く無限、そして平和の象徴である「水玉」。自らその一部となり、”自己消滅”することで問い続ける生命力と生の軌跡。共感。これが”前衛”にも繋がる。オキーフ氏との繋がりは正に運命。自ら切り拓いた運命!様々な壁に立ち向かう姿勢の源泉も、問い続け・追い続けることという感。渡米前の作品焼却は、氏の覚悟ではなかろうか。敢えて1点作品を取り上げるのであれば『反戦ハプニング』。氏の半生と哲学が滲んでいる印象。2017/06/06
アキ
57
草間彌生の言葉が強烈。芸術「南瓜は愛嬌があって、すばらしく野生的でユーモラスの雰囲気が人々の心をとらえてやまない」闘い「日本の文化、伝統からは影響を受けていません」「私はこの水玉一つでたちむかつてやる。これに一切を賭けて、歴史に反旗をひるがえすつもりでいた」人生「私が出会った人たちの中で真っ先にあげなければならない人の名は、ジョージア・オキーフである」社会「日本は伝統の良さを失って醜く近代化してしまった」生愛死「この世から自分が消えてしまっても、芸術の力は続いていきます」90歳になっても益々精力的である。2019/06/16
いたろう
44
近年、特に女性に人気の草間彌生だが、かぼちゃや水玉の模様をただ「かわいい」ともてはやすのは、草間彌生のほんの一面しか見ていない浅薄な見方なのだろう。1960年代頃のニューヨークでのとんがった作品こそが、草間彌生の原点にしてひとつの頂点であり、今、世界で認められている理由であるのは間違いなく、強迫観念から自らを解放するために、取り憑かれたように無限の網、水玉模様、ソフト・スカルプチュアの男根を創造し続け、奇抜な「ハプニング」で社会にメッセージを送り続けた姿こそ、真に理解されるべき。草間彌生を知るための1冊。2017/05/13
つねじろう
44
この人は凄い、凄い人だわ。昨年銀座のルイビトンでひときわ目を引くディスプレイが彼女の作品だった。人の影響は受けたことがないと語り、日本の伝統文化からも影響は受けてないと言い切る。水玉一つで立ち向かってやると言い、歴史に反旗を翻し古い因習と徹底して闘う、愛と平和の為に闘い一方で作品のテーマは自己の存在の喪失。大いなるアンビバレンス。久々に魂を揺さぶられた。自分の母と同じ年齢というのも感慨深い。2013/06/08