出版社内容情報
『鬼平』は軽いから強い。
社会が個人を見捨てつつある今の日本には、池波正太郎が描く、「世間」というセーフティネットによって誰もが「自前」で生きていける社会が必要ではないか。池波作品の「自前の思想」を読み解く!
内容説明
二十三回忌を迎え、なぜ今なお池波正太郎が愛されるのか。そこには池波が描き、そして生きた、たとえ貧しくとも「世間」というセーフティネットが機能し、誰もが「自前」で生きていける社会に対する我々日本人の郷愁と憧憬があるのではないか。「ワーキングプア」「孤立死」「世代間格差」…社会が個人を分断し、突き放している今の日本。辛口評論家と江戸研究家の最強コンビが、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』など池波のヒット作はもちろん、池波自身の人生をも読み解きながら、これからの日本人に相応しい生き方を共に考える。
目次
序章 池波正太郎、愛される理由
第1章 仕事の流儀
第2章 遊びに磨かれて
第3章 家族の肖像
第4章 正義は誰のため?
第5章 江戸と東京のメンタリティ
終章 答えは池波正太郎にあり
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
1945年山形県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。高校教師、経済誌編集長を経て、評論家として活躍
田中優子[タナカユウコ]
1952年横浜市生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科教授(近世文学)。同国際日本学インスティテュート(大学院)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シブ吉
44
池波正太郎さんを愛する、佐高信さんと田中優子さんの対談本。鬼平、剣客商売、梅安などのシリーズものや、エッセイなどなど、さまざまな池波作品を引用しながら展開する話に、「ウンウン」と納得したり、「ほう、そういう考え方があるのか」などと感じつつ読了。自分で稼いで、自分で使うという当たり前のことが「自前」である。その言葉にふと思い出す、むかし出張で行った雪の会津若松での事。生まれて初めて一人で入った居酒屋の、ビール1本とお通しと、つまみ2品で会計2000円の思い出。それもこれも、池波作品に刺激されてのことだった。2013/11/16
退院した雨巫女。
9
《私‐図書館》池波作品が何故こんなに人々が、惹かれるのかよくわかる。しかし、池波ワールドは、深い。2012/08/04
takao
3
ふむ2024/04/28
kinkin
2
遊びに磨かれた人、池波正太郎。キーワードは自分で稼いで自分で使うという当たり前のこと、「自前」。池波正太郎を読む意味。鬼平論もあり、 楽しめた。2013/12/11
s_n
1
いつもと違うものにふれたくて読む。池波の著作に触れてないと何が何やらですが自前の概念は自立よりもずっと気持ちがいい。2014/02/15