内容説明
世界各国の紛争地域を取材してきた著者が、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。世界中で多くの生と死を見続けてきた著者だったが、迫りくる妻の「死」には、ただひたすら戸惑い、動揺し、取り乱すばかりだった。回復の兆しはなく、意識も戻らぬまま、脳死に陥る妻。著者は、妻の「その瞬間」までを詳細に記録することで、過酷な現実と向き合うことを選ぶ。
目次
第1章 突然の知らせ
第2章 延命
第3章 家族旅行
第4章 日記
第5章 病床の聖餐式
第6章 目の前の事実
第7章 不安
第8章 鳴り始めたアラーム
第9章 二人だけの時間
第10章 桜舞う夜に
著者等紹介
桃井和馬[モモイカズマ]
1962年生まれ。写真家、ジャーナリスト。これまで世界一四〇カ国を取材し、紛争・地球環境などを基軸にした独自の切り口で「文明論」を展開している。第三二回太陽賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
41
ジャーナリストとして世界各国を歩き、多くの生と死を見てきた著者ですが、くも膜下出血で倒れた最愛の妻が亡くなるのを看取るまでの日々は身を切られるような辛さだったでしょう。愛する人を目の前で失う喪失は並大抵のものではないと思います。身近な妻が死に向かう感情を語ることはとても大きな力で圧倒してきました。過酷な現実が心を抉るように迫ります。必ず誰もが迎える「死」という現実を受け入れるために苦悩し葛藤する痛みが伝わってくる作品でした。2014/11/15
遅筆堂
21
これは辛い。2年前に意識不明で入院し一月間、一言も喋ることなく亡くした親父のことを思い出したり、もし妻が、自分がと置き換えたりして読む。 著者はフォトジャーナリストなので、事象の切り取り方や判断が冷静なだけに、その文体はリアル過ぎる。自分の動揺や慟哭、小学6年生の一人娘の苦悩までが、どこか第三者的にみていると感じてしまう。著者は、そんなところまでも悩んでいる。 各章の最初に書かれている世界の悲劇と自分が対面している避けられない現実との比較は凄まじい。いずれにしろ、悲しすぎるし辛すぎる。激しく良本。2011/03/09
雨巫女。
14
《私‐図書館》夫と同じ死因の奥様の話。違うのは、夫は、看とられることなく、亡くなり。奥様は、十日間過ごせたこと。つらいでしょうが、私には、羨ましい。2011/05/15
Maiラピ
9
著者本人と周りの反応や行動に違和感を感じた、宗教の問題なのか・・・現実離れしてるっていうか、それは安っぽいフィクションの様。あまりにもロマンティックでドラスティックで恰好よすぎる。日本人ってもっと淡々と死を受け入れていくのでは。。。最後は娘までが好演的な行動をする。。これはノンフィクション?いや涙を誘うドラマ?と問いかけたくなる。ただ写真についての言及、キリスト教の『祈りの量・代価≠奇跡』はなるほどなぁ・・と思う箇所が多々あり。取材先のエピソードも興味深く読めた。2011/04/18
takao
5
ふむ2024/05/23