内容説明
古来より、中国の詩人たちは『三国志』を題材として多くの詩詞を残しています。それは曹操の「短歌行」であったり、曹植の「野田黄雀行」、王粲の「七哀の詩」、社甫の「蜀相」であったりします。また、蘇軾の有名な「赤壁の賦」や諸葛亮の「出師の表」などもあります。本書は『三国志』の歴史舞台を名文の詩詞で訪ね、新たな文学的興趣を引き出そうとするものです。また、漢詩の基礎知識や『三国志』関連の諸々の資料にもページを割き、勇壮な『三国志』世界を堪能するものです。
目次
第1話 白骨、平原をおおう―戦禍のルポルタージュ
第2話 憂いを解くはただ酒あるのみ―覇者曹操の気概
第3話 豆は釜中にありて泣く―貴公子曹植の苦難
第4話 遙かに想う、千古風流の人物―赤壁の古戦場
第5話 東風、周郎のために吹かざれば―杜牧の詠史詩
第6話 天下の計、老臣の心―杜甫の孔明讃歌
著者等紹介
八木章好[ヤギアキヨシ]
1957年、東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒。93~95年、北京大学中国文学研究員。慶応義塾大学文学部教授。同大、言語文化研究所副所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takka@乱読
11
日本の戦国時代と並んで日本で人気なのが『三国志』だと思う。自分も戦国ほどではないが、ゲームや本で三国志を知っているが、今まで三国時代に生きた人物の漢詩を読んだことがなかったため、ブックオフのウルトラセールで手に取った本。漢詩も評判が高いと前から知ってはいた曹操などのその時代に生きた人と、杜甫など影響を受けた人の詩の両方でいくつか紹介されている。巻末には漢詩についての説明もあり、勉強になった。漢詩を読んで汲み取ったことは、戦争・友情・未来・畏敬など、現代の私たちにも通ずるものがあった。2023/02/09
ソルト佐藤
4
三国志好きなので読んでみる。歴史の流れがコンパクトにまとまっていて、きっと、初心者にも読みやすいと思う。収録している作品は、有名なのばかりで、ちょっと期待外れだが、蘇軾や杜甫などの詩の部分は、そこそこ物珍しいかも。とくに、蘇軾の賦は、詩ばかりのなかでの散文で、とても面白味がある。2017/02/27
ぞるば
2
とても読みやすかったです。三国志のなりたちからしゅっと説明してくれるし、詩は2行ずつ解説してくれるのでわかりやすい。曹植の詩が興味深かった。最後のほうは杜甫。最後の最後に「漢詩」についてまとめてあって、まぁちょっと三国志からは出るかもですが、勉強になりました。2016/05/07
紫暗
2
「三国志」とは何か?という説明から入っていますが、その部分も「三国志」を既に読んでいるという人でも興味をひかれるような雑学も入っていて面白かったです。漢詩自体はページ数の関係もあってそんなにたくさん取り上げられているわけではありませんが、曹操や曹植が詠んだ詩はもちろんのこと、有名な「赤壁賦」など、「三国志」に関係している有名な詩と諸葛孔明の「出師の表」までが抜粋ではありますが、掲載されています。解説も大変わかりやすく、最後まで面白く読むことができました。2012/09/07
BIN
2
とりあげられている詩の数は少ないですが、それぞれ説明されていてわかりやすい。軽く三国時代のことも解説されているので、三国時代を知らない人も問題なく読める。やはり曹操の詩が一番好きです。2011/05/02