内容説明
いじめに苦しむ子どもたちや、悩みを抱えた大人たちなど、毎年、三万人以上が、自殺に追い込まれている。そして本当に怖いのは、この社会で共に生きる他者への無関心と、無慈悲さの蔓延だ。「悪人」だけが跋扈しているわけでもないのに、一体なぜなのか。また、相談機能を失ったこの社会で、どこにも逃げられず、頑なにもなりきれないフツーの人たちは、どうしたら漠然とした息苦しさから解放されるのか?注目の政治学者が、幅広い世代から寄せられた声に誠実に向き合い、この国でしたたかに、しなやかに生き抜くための方法論を提示した、現代日本の必読書。
目次
第1章 「お金」を持っている人が勝ちですか?
第2章 「自由」なのに息苦しいのはなぜですか?
第3章 「仕事」は私たちを幸せにしてくれますか?
第4章 どうしたらいい「友人関係」が作れますか?
第5章 激変する「メディア」にどう対応したらいいの?
第6章 どうしたら「知性」を磨けますか?
第7章 なぜ今「反日」感情が高まっているの?
第8章 今なぜ世界中で「紛争」が起こっているの?
第9章 どうしたら「平和」を守れますか?
第10章 どうしたら「幸せ」になれますか?
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
26
「お金」「自由」「仕事」「友人」「メディア」「知性」「反日」「紛争」「平和」「幸せ」の10章について幅広い世代から寄せられた声に対して著者は、各項目ごとにヒントを提示する。その中には同感するものから、違和感のあるものまであるように感じた。しかしこの時代において、各問題や悩みについて自分の考え方や思いと対比しながら読むことが出来る良書。漠然とした不安と先行きへの手摺りとして、もう一度読み直してみたい。2014/04/28
ちくわん
25
2007年2月の本。サブタイトルは、不確かな時代を生き抜く10のヒント(お金、自由、仕事、友人関係、メディア、知性、反日、紛争、平和、幸せ)。女性誌ポータルサイトに掲載したもの。語りが優しい。久しぶりの姜氏の本。この頃と比べ、我が国も世界も、なんらよい方向に向かっていないことがわかる。思った以上に今日の課題とマッチしていて驚く。やはり、生き抜かなければ、と思う。2022/12/18
豆ぽち
8
読みやすいけど、所々、なるほど!と唸る箇所有り。日を置いて再読の予定。姜さんのファンです。2010/08/13
白義
7
姜尚中の著作の中ではかなり軽い部類に入るエッセイ、人生相談といった内容。気付きのヒントがたくさんあって、他者と自己、社会の関係や知の意味など概ね真っ当で誠実なのだけどその分癖がなさすぎるかもしれない。文章も上手で、読者に考えさせることを主としており分かりやすく良質な本ではある。女性誌サイト初出なだけあって、全く著者やその業界を知らない人にも論旨がスルスル掴める入りやすさが圧倒的。姜尚中で普通の人が最初に一冊読むならこれか悩む力がいいと思う。2012/06/23
がらす
7
現代社会において誰もが一度は抱いたことがあるであろう10の疑問に、問題の原因と解決の糸口を読みやすい語りで示してくれています。Web連載をまとめたものということもあり、さらさらと分かりやすいです。ややあっさりしすぎな気もするけれど、あとはこの本の「ヒント」をもとに読者自身が考えなさいということなのかな。2011/06/14