内容説明
近代的都市が発達すると、大勢の人が地方や外国から流入してきて、匿名性が浸透し、生活は流動的になる。都市生活に適応するために大切なのは、最新情報である。そこで、次第にマスメディアが発展し、人々の秘密をニュースとして発掘する、新しい情報環境が創造された。都市に生活する人間は、他人の秘密をニュースとして消費する、メディア探偵とも呼ぶべき人間に変身していくのである。本書は、東西の探偵小説、推理小説を素材として取り上げながら、われわれの陥っている、他人の秘密を知って安心し楽しむ、一億総探偵現象の社会心理を解き明かそうとするものである。都市的人間はあまりにも知ることに追われている。
目次
序章 人はなぜ知りたがるのか
第1章 都市の雑踏
第2章 都市の秘密
第3章 都市の成長とメディアの発達
第4章 都市の成熟と探偵の誕生
第5章 都市が生んだよそ者と探偵
終章 情報化され社会化された秘密は誰のものか
著者等紹介
藤竹暁[フジタケアキラ]
1933年東京生まれ。浜松学院大学現代コミュニケーション学部学部長、学習院大学名誉教授。学習院大学政経学部卒。東京大学大学院社会科学研究科社会学専門課程博士課程修了。NHK総合放送文化研究所主任研究員、学習院大学法学部教授などを歴任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。