内容説明
老若男女を問わず、多くの人が語学を学び始めている。英語だけでなく、さまざまな言語に関心が拡がっている。そして、そうした人たちの多くが、外国語を習得したのち、それを仕事に結びつけていくには、どのような方法があるのだろうか。本書は、通訳や翻訳家といった代表的な職業だけでなく、初心者向けに、何のために語学を学ぶのか、学んだ語学をどう仕事に生かすのかについて、指針を与える。
目次
1 語学力を生かす三つの道
2 語学スペシャリストの三つのタイプ
3 語学エキスパートになるための資質
4 分野別キャリアアップ戦略
5 現状分析―いまなにをすべきか
6 語学専門家になるための勉強法
7 語学学習メソッドの種類と特徴
8 各国語翻訳市場概観
9 プロモーション戦略―いかに仕事を獲得するか
10 ケーススタディ―語学で身を立てている人々の実際
11 FAQ―頻繁に受ける質問
著者等紹介
猪浦道夫[イノウラミチオ]
横浜市生まれ。米国ニューポート大学日本校助教授。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。上場企業の語学研修講師として7カ国語を教える
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感想・レビュー
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navyblue
29
著者によると、語学のスペシャリストは通訳、翻訳、語学教師という3種に分類されている。それぞれ必要な適性やスキルは違うが、外国語を身につけるために強い意志をもって集中して勉強すること、その方法にも触れている。まずは基本的な文法を習得する、語彙は教材で出会ったものを覚えていくことで増強する。複数の外国語を学ぶこともすすめられていて、遙か昔に挫折した仏語を基本に戻ってやってみようかという気になった。いづれにしても母語である日本語をおろそかにしないこと。どの言語を選んでもそれが一番大切なことなのだろう。2018/01/23
mazda
23
非常にためになる本でした。「翻訳でもやろうかな」なんて、甘い気持ちでやっていけるようなものではないということなんですね…、当然ですが…。方法論として、英会話スクールに代表されるダイレクトメソッドですが、別名兵隊メソッドと言われており、軍隊が他国を占領したときに被占領民に自国語を教えるため、兵隊自身が教師になって自国語だけを教えるものだったそうです。兵隊は被占領国の言葉を知らないので、教わっている人がどれくらい理解しているかは全くわかりません。つまり、今の英会話スクールもこの図式ということですね…。2018/05/08
Nobu A
15
邂逅とも言える1冊。タイトル通り語学力で生活する為のバイブル書だが、今まで知る限りこんな本がなかった意味でも非常に貴重。言語を勉強する理由に「将来、翻訳家になりたい」というのはよく耳にする。でも、その道筋は不透明だった。職業的意義にも繋がる。一般的に、通訳、翻訳、教師の3パターンがあり、それぞれどのような形で身を立てるか適切な情報を提供。筆者自身7カ国を操り、3足の草鞋を履く。教授法や学習法が簡潔に纏めてあり、自身の経験から各資質等も解説。目指す目指さないを別にしても語学学習者にも読んでほしい。役に立つ。2018/05/22
楓
15
通訳、翻訳家、そして、教師など語学で身を立てるとはどういうことか、そしてどうやったらそうなれるのかが書いてある。英語はさまざまな欧米言語にルーツがある特殊な言語であり、他の欧米言語を学習した人の英訳の方が英語のみ学習した人の英訳より優れていることがあるという話は興味深かった。また、著者が考える言語の学習方法は大変参考になった。やはり、文法は大事らしい。2018/02/11
またの名
15
もとは軍隊発祥の、学びたい言語を母国語とする教師がその言語だけで教える直接教授法を、未だにありがたがるネイティブ幻想などを的確に批判。マーケットが過剰に煽って買わせようとする単語帳や語学検定は必要ではないとはっきり述べ、それよりも重要な語学的言語学的、職業的要素を教示。下は高校生から上は現役引退世代まで、欧米・アジア・中東諸語も対象に通訳、翻訳業務を志す各層へ向けた記述は具体的で、読めばなにかしら参考になることは確実。多言語話者らしく英語のみの学習を勧めない理由も、読者が勉強していればいるほど納得できる。2016/10/07